内手の家橋

チェーンブロックで復旧できる流れ橋。

(埼玉県東秩父村坂本)

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県道11号沿いに目立つ巨樹がある。「坂本のエノキ」という村指定の天然記念物だ。

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根元まわりなどはまるで板根。

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そのエノキの横に踏み分け道のような細い道がある。

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この道の先に小さな流れ橋があった。

この橋を利用するのはこの先に見える農家1戸しかなさそうだし勝手橋かなと思って調べてみると、この道は「村道2286号線」というれっきとした村道で、橋の名前は「内手(うちで)家橋(いえばし)」して登録されている。

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データによれば、幅員80cm、橋長4.8mということなので、まさにこの橋なのだろう。

でも言っては何なのだが・・・村の登記簿のミスで先ほど見た流れ橋と間違えて管理されるようになったのではないのか? どう考えてもさっきの橋が勝手橋でこっちが村の橋というのが納得できない。国土地理院の1/25,000地形図でもさっきの道は掲載されていて、こちらの道は載っていないし・・・。

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橋桁は工事用の足場を束ねて溶接で造られていて、とても強固な造り。橋床はすべり止めもあるからとても歩きやすい。

橋桁は鎖で川岸のケヤキの幹につながれている。

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特筆すべきことは鎖がチェーンブロックにつながっていることだ。

チェーンブロックは、軽い力で数百キロ~1トンほどの重さのものを引き上げることができる道具。

考えたなぁ。いままで同じような流れ橋を見たことがないのが不思議なくらいだ。

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この橋を管理している対岸の農家のおじさんがいたので話を聞くことができた。

いまこの橋を利用しているのは1戸だけなので、流されたときに村の力を借りるのは忍びなく、1人で復旧できるようにチェーンブロックを取り付けたのだという。

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この橋は生きた流れ橋であり、現代的な工夫もあって槻川の流れ橋を代表する実用橋と言っていいと思う。

(2022年10月25日訪問)