三保谷宿稚蚕共同飼育所

大部屋式の飼育所だったか。

(埼玉県川島町三保谷宿)

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吉見方面に遊びに来たとき、川島町のあたりをウロウロしたことがあった。

このとき探したのは踏車(ふみぐるま)。水位の高い用水路から水田に水を入れるための人力の揚水機だ。もしあるとしても農家の納屋などに入れられているだろうから、道をウロウロしたくらいでは見つからない。結局なんの成果もないまま夕方になった。

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そのとき、三保谷宿(みほのやじゅく)で見かけた稚蚕飼育所。

看板などは出ていないけれど、たぶん稚蚕飼育所で間違いないと思う。2つの掃き出し窓は配蚕口だろう。

現在は養蚕の痕跡はほとんど感じられない農村地帯だが、かつてはこのあたりでも盛んに養蚕が行われたのだ。

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外壁には開口がいっさいなく、鉄骨をターンバックルで固めている。長手方向の応力のためで、もしかしたら室内には柱がなく大スパンのトラスになっているのかもしれない。

地窓のようなところに換気扇がある。これとよく似た造りの飼育所を群馬県の吾妻地方で見たことがある。

内部の構造は推定だが大部屋方式。

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足洗い場がある。ここで長靴の泥を落としたのだろう。

ということは、人工飼料育ではなく畑で桑を採ってくる桑養育だったと想像される。

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管理棟の入口。

右側が休憩室や宿泊室などがあった部分。

左側の大扉は桑の搬入口で、地下室へ降りるスロープがあるのではないかと思われる。これと同形の飼育所の中に入ったことはないから、想像だけど。

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外部には地下室へ桑を落とすシューターなどは見当たらない。

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建物の南側。

埼玉県の稚蚕飼育所はあまり数を見ていないので、はっきりとわからない点が多い。ただ、残っている飼育所は大型のものが多いような気がする。

(2016年04月23日訪問)