
大里用水の左岸幹線道水路が通る崖線。そこには湧水もあるし、崖下の用水路もある。

用水路の名前ははっきり確認できなかったが、「大麻生用水」と呼ばれている模様。
ただ六堰用水のひとつ「大麻生

その大麻生用水を何となく辿っていたら、旧川本町役場付近で墓地の中にお堂があるのが見えた。
墓地の名前は「応正寺観音堂墓地」。

お堂は間口2軒、奥行き4軒だが、前側2間が完全に吹き放ちになった独特の造り。
あまりにもお堂が気になるので車を止め、お参りしていくことにした。
なお、この墓地の管理者である応正寺も近くにあるようなのだが、きょうは寺参りが主ではないので墓地だけ。

お堂の扁額には「観音堂」とある。
こうした墓地にあるお堂を当サイトでは野辺堂と分類している。

吹き放ち部分には香炉台の基礎みたいなものがあるが、もしかしてここはむかし座棺を置いた場所で、引導場だったのかも。
素通しの地蔵格子になっていて中も確認できる。見てみよう。

おおっ。内部は十王堂じゃん! しかも十王が揃っている! 閻魔の本地である地蔵菩薩もいる。
一方で「観音堂」としての要素はかなり少なめだ。祭壇中央の厨子に入っているのも観音様ではなくて日光菩薩だよね?
あえて言えばその左に置かれている赤茶色の新しそうな仏像が聖観音だけど。

閻魔大王は乾漆仏と思われ、無住のお堂にしてはきれいな状態を保っている。

日光菩薩の前には人頭杖の頭だけが置かれている。

柱の陰には奪衣婆。
これも造形がすばらしい。ギザ歯が怖い。

誰かが奉納したのか、謎の白い菩薩像もある。

右下にあるのは石皿かな?

お堂の裏手は墓地になっている。墓地は最近整理されたようで墓石はみな新しい。

墓地の一角にあった二十二夜待供養塔と如意輪観音。

無縁塚。
無縫塔や宝篋印塔が含まれているので、ちょっと特別な感じの墓石を集めたのだろう。

敷地の奥にもうひとつ無縁塚がある。

墓石に埋もれるように六角地蔵宝幢があった。もう少し見やすい場所に置けばいいのに。

無縁塚の頂上には地蔵菩薩が祀られ、石段で登って線香を上げられるようになっている。
登れる無縁塚って意外に少ないので貴重だ。
(2025年06月19日訪問)