3日目最初の寺、安住院。
岡山市街地のすぐ東側には操山という独立丘陵があって先日みたゴロゴロ大師ほか、いくつかの寺がある。安住院はそのなかのひとつだ。寺に近づくと山すそに楼門(黄矢印)、山腹に多宝塔の屋根と相輪(赤矢印)が見えてくる。寺巡りをしていて一番幸せな瞬間だ。もっとも相輪の方は画面で2ピクセルほどになってしまい、ほとんど見えないが‥‥。
最初に建っているのが三間一戸の楼門。
室町中期の門といわれ国重文。岡山県の楼門では最古のものらしい。
そう言われて見ると、二階の高欄の部分が二手先になっていて、肘木(ひじき)が妙に長いところなど、古風な趣がある。のちの建築では三手先で処理するような深さだ。
楼門から寺までは200mくらい。道路の左側は寺の石垣、右側はお屋敷(人家)になっている。
かつては十二院があったというから、この右側の人家のあたりには子院が並んでいたのかもしれない。
まず本坊がある。入口は薬医門、方丈、客殿、庫裏がある。本堂とは渡り廊下でつながっている。
本堂入口にある竜宮門。二階は鐘楼になっている。三間一戸の楼門をむりやり竜宮門に改造したような感じの門だ。あとで調べてみたら、大正時代に一階を改造したとのこと。この寺では明治まで西大寺の裸祭りと同様の祭りをやっていたので、それを偲ぶため西大寺の門をまねて改造したらしい。
屋根が寄棟造というのも変わっている。これも改造か?
堂宇は本堂(写真奥)、大師堂(写真手前)、薬師堂、鎮守社、信徒休憩所、納経所。
境内の全景。
正面の山の中に多宝塔の相輪が見えている。
多宝塔。
境内からは歩いて10分ほど。途中の道はけっこう荒れている。
この多宝塔は岡山市内からもよく見える。後楽園の借景になっているという。借景(しゃっけい)というのは、庭園を造るときに遠くにある山並みを庭園の一部とみなして眺めることである。
(2001年05月01日訪問)