旅の3日目。午前中は岡山市内を起点にして市内の寺を見学する。そのあと吉備津神社から備中国分寺周辺にかけての定番の吉備路観光。夕方には倉敷市の周辺の寺々を見た。
普通の観光だったら、岡山城後楽園や倉敷の美観地区もコースに入るのだろうけれど、この旅では素通りした。後楽園や倉敷の美観地区はいずれは訪れることもあるだろう。
それにたぶん倉敷は十年後に訪れても町並みの美観は今と変わらないだろうし、いや、もしかしたら現在よりももっと古めかしくもっともらしく作り込まれているかもしれない。とにかくそういう永遠不滅のものにはあまり魅力を感じないのだ。
ところで、岡山というところはいろいろな意味で宗教の盛んなところである。黒住教、金光教といった大手の新興宗教や、珍スポットとして有名な鼻ぐり塚のある福田海。そして忘れてはならないのは修験道の総本山もこの地にあるということである。そういった岡山の特徴が、この日訪れた寺のいくつかによく表われていた。普通の寺とどこがどう違うのか具体的に説明するのは難しいのだが、あえて言うなら“神道や修験道と渾然一体となった現世利益的な祈祷を基盤としている"とでも言えばいいだろうか。それが寺の立地や、境内の雰囲気、建物の形態ににじみ出ているのである。3日目の旅ではそんな点に注目していただけたらと思う。