倉敷市に別れを告げて、明王院へと向かう。明王院というと福山市の明王院が有名だが、これから向かうのは倉敷市の隣の鴨方町にある明王院。福山市の明王院は午後に訪問する予定だ。
寺に着いたときは大粒の雨と強い風で、傘などさしても役に立たないような天候。正直、車から降りるのもためらわれるような状態。
山門の八脚門の手前に車を停めた。
そこから100mくらい参道があって、本坊がある。本坊付近にも駐車場があったので、知っていれば濡れなくてもすんだのに。
本坊付近の建物は、写真左から書院、玄関、庫裏、衆寮。
客殿からは渡り廊下のような回廊があって、本堂のほうへとつながっている。
中央の煙出しのついた重層の堂は不動堂。左奥に見える緑青色の九輪の付いた堂は地蔵堂。奥に見える朱塗りの建物は多宝塔だ。
不動堂は中で護摩供養が出来るようになっているのだろう。そのための煙出しではないだろうか。
本堂は現在建築中。計画によれば重層の大本堂が建つ予定だ。後ろには小さな仮本堂がある。
仮本堂だけでも普通の寺の本堂として成立するくらいのちゃんとした堂だ。
境内にはほかに水盤舎、地蔵堂、鐘堂。
多宝塔は昭和63年の建立で、屋根は銅版葺き。相輪は金色に輝いている。全体のバランスがよく、かなり美しい塔だ。昭和の高度成長期には、工務店がろくに調べもせず「塔って確かこんな感じだったよな」というノリで建てたような塔も多かったが、さすがに昭和末期にはそういう建築も少なくなった。それなりに名塔を研究して建てるようになったので姿の美しい塔が多い。その反面行儀がよすぎて個性がなくなってしまったというマイナスもある、と思うのは贅沢というものだろうか。
(2001年05月02日訪問)