福山市街を抜け国道2号線を西に向かって走ると、芦田川という川を越えたところで平野が途切れて国道は丘陵の中へと入っていく。その山並みのふもと、芦田川の川岸に明王院がある。
境内は広いがほとんどが山林で、敷地を築地塀で囲んでいる。
今日訪れた明王院は二軒目。こちらの明王院のほうが有名である。
少し離れた駐車場に車を停めて歩く。雨も一時的に小ぶりになってきたので助かる。
山門のところには宝形造の十王堂。
石段を上ると四脚門(県重文)がある。
石段を上ったところにある庫裏、玄関、中門、書院。いずれも県重文。
写真では見えないが、さらに奥に護摩堂がある。
本堂は鎌倉時代末期の建築。和唐折衷様式の初期の例の一つとされ国宝に指定されている。正面二軒の桟唐戸になっている部分が外陣で、こうした造りは密教の本来の本堂形式である。
本堂は古い建築であり国宝指定は妥当とは思うが、個人的には、屋根のボリューム感に欠けるように思う。軒が高くて、入母屋の大棟が短か過ぎる。また木割りも細く、全体的な美観はいまひとつと思うのだが。
本堂の左には五重塔、鐘堂、蔵がある。
五重の塔は純和様。南北朝時代の建築で、やはり国宝。
一層の平面がやや小さい細身の塔だが、軒のでも深く、程よい低減率で全体の姿は美しい塔だ。
伽藍配置図。
五重塔の裏山には愛宕神社、奥の院などがあったようだが、雨が降っていたので登らなかった。
(2001年05月02日訪問)