草戸(くさど)稲荷神社。明王院に隣接している神社である。国道2号からもその異様な姿がはっきりと目立つ。しかしその異様さからか、ともすればその存在があえて無視されてしまうような神社である。NHK教育の国宝探訪という番組で明王院を特集していたが、明王院の隣にこんな神社があるとは画面では全くわからなかった‥‥。
草戸稲荷はもともと明王院の鎮守社だったということだそうだ。
明王院の落ち着いた雰囲気に反抗するかのごときド派手な社殿である。
こういう懸崖造の神社は全国に何軒かあるようだが、関連性はあるのだろうか。
境内の左側には、三階建ての巨大な建物。内部は民俗資料館になっている。時間がなかったし、開館している気配が感じられなかったので見学はしなかった。
本殿付近はとにかく朱塗りの建物が多数ある。
末社も無数にある。
本殿の懸崖造り部分は9時から16時までは自由に参詣可能で無料。
さっそく登ってみる。
舞台の構造はRCのいわゆるラーメン構造だ。
階段は柱ハリの間を縫ったり、外周に出たりで変化に富んでいる。
ただし、階段の途中に末社などがなく、ただ階段を上るだけなのは寂しい。
本殿部分は片持ち梁になっている。まさに空中に浮かぶ神社といった感じ。
本殿の構造材は全てRCだが、屋根は檜皮葺きで伝統的な形式にのっとっている。おそらく小屋組みは木造で、そこの部分は宮大工が施工した混構造なのだろう。
拝殿部分から福山市街地が一望できる。
正面に見える中洲のあたりに草戸千軒と呼ばれる大きな街があり、明王院はその財力で建てられた寺なのだという。草戸千軒は江戸時代のはじめごろ川の氾濫で一日で壊滅したのだという。
階段は上りと下りが別々になっていて、一方通行である。
本サイトのメインテーマたる“巡礼空間"として認定しうる建物だ。それだけに階段部分に信仰装置がないのが惜しまれる。
末社のひとつ草戸八幡神社の本殿。
草戸八幡神社の拝殿。末社も空中に作られているのだ。
境内には他に、社務所、土産物売り場、護符売り場など。
余談であるが巫女さんが美人であった。
(2001年05月02日訪問)