8月11日(土)、夏休み。私は徳島県南の海岸線をひたすら走っていた。
四国には4つの県があり、おおまかに言えば田の字のように道路がある。その田の字のひとつのセルは、運転好きの者にとって丸一日の長距離ドライブのコースになる。
いま国道55号線で室戸岬へ向かっている。きょうの目的地は高知県安芸市。そのまま時計回りに一回りして国道32号線経由で徳島まで戻るつもりだ。
もっとも、途中で何か面白いことでもあれば高知県内に宿泊して明日帰ってもいい。明日も休みという気ままな週末なのだ。
室戸岬を回ると、目の前に太平洋が広がる。
徳島市内から見る紀伊水道の海と違って、底が抜けているというか、ちょっと怖いような壮大な水平線が広がっている。徳島県民からみると、外国の一歩手前まで来ているような感じがするのだ。
安芸市に入ると、観光地っぽい浮かれたオブジェが現れる。
木造の時の鐘とかね。
これが観光予算で作られたオブジェじゃなかったら最高なんだけどね。
こうしたオブジェの中枢となっているのが、、、、
これ!
「野良時計」と呼ばれる時計台である。四国で時計台といえばこれでしょう。
地方の大地主が趣味で作ったもので、年代はどうもはっきりしないけれど、明治中期~後期くらいに稼働したようだ。時計の部品まですべて手作りといわれている。
時計は人々に時を告げるのが役目なのだが、この時計台は城下町のはずれの田んぼに面していて、せいぜい農作業をするときの目安くらいにしかならない。それゆえ「野良時計」の愛称がついたのだろう。
でも風景として飛び抜けていると思う。全国を見ても類似する景観がほかにない。点景として時計の持っているパワーってすごいよね。
自分もいつか小さな辻時計くらい建てたいものだといつも思っている。家の横にでも立てるか?
ただ、この塔屋が完成したのがいつなのか、時計が本当に一点モノの手作りなのか、どうもあいまいな情報しかないのが気にかかる。
文化財の指定も「登録有形」というのもかなり引っかかるところ。
いわれる通りの明治中期だったら、県指定有形文化財でいいと思うのだけど、実はかなり新しいモノなのか?
札幌の時計台は周辺の景観がいまひとつという人もいるけれど、野良時計の左右はこんな感じ。
個人の住宅なので道から見るだけで、時計台の中などへは入れない。
歩いてすぐに無料大駐車場もあり、観光地になっているけれど、こじゃれたカフェやありきたりな雑貨を並べた土産物屋が並んでいるというわけでもなく、夏休みというのに人もそれほどいなかった。
(2007年08月11日訪問)