常楽寺。半田市の南部、国道247号線に面した巨刹。
周囲はカーディーラーやファミレスなどが並ぶ都市郊外の風情の場所だが、この寺の境内からはそんな雰囲気は感じられない。
寺の南側には100mくらいの参道が続いている(。
参道の途中には辻堂がある。
山門は三間一戸楼門の二天門。八脚門や楼門には金剛力士が祀られている場合が多く、そういう門を「仁王門」と言う。「二天門」というのは、金剛力士の代わりに四天王のうち2体が祀られた門である。
鉈彫の広目天と増長天が祀られている。
山門を過ぎると、左右に塔頭寺院が続く。
私の基準では、2軒以上の塔頭が現存しているなら、その寺はかなりの名刹ということになるのだが、常楽寺には5軒の塔頭がある。
本堂は巨大で、浄土宗らしい作り。
本堂は開いていて自由に拝観することができた。
本尊は、鎌倉期の阿弥陀如来立像で国重文。
あっけなく置かれていたが、これがそうだろうか。
本堂の右側には庫裏。
庫裏の前には塗り籠め造りの蔵。おそらくただの蔵で、輪蔵ではなかったと思う。蔵の前には単層の鐘堂があったが、写真を撮り忘れた。
実は本堂を出るとき、カメラを持ったまま転んで、カメラのズームレンズのせり出し部分が折れて曲がってしまったのだ。一瞬「終わった…」と思ったが、無理やりレンズを押し戻したら何とか元に戻った。だがこのときはかなり慌てていて、伽藍のメモや写真の撮り方が支離滅裂になってしまい、あとで見返してもよくわからない点もある。
蔵の前にあった六角灯籠。ガラスがはめられてて、6面に仏が並んでいる。
類似する物件をこれまでに2~3件見たことがある。
本堂の右側には毘沙門堂。
毘沙門堂の内部には「賽の河原地蔵尊」というジオラマがあった。
毘沙門堂の前にあった羅漢像。賓頭盧尊者か。石造の賓頭盧様は珍しい。
毘沙門堂と本堂の間は回廊でつながっているが、その回廊の途中を通り抜ける、本堂の西裏側に行くことができる。そこには小さな池があり、弁天堂と思われる小祠があった。
毘沙門堂の南側には薬師堂(写真奥)、水盤舎がある。
薬師堂の南側には千体地蔵堂という堂がある。
もっともこの堂は、常楽寺本体の堂宇ではなく、塔頭「超世院」の庫裏の一部だったかもしれない。
内部には
千体地蔵堂の中には弘法大師が祀られていた。弘法大師といえば真言宗の創始者だが、他の宗派の寺でも祀られているのをよく見かける。
もはや歴史上の人物という認識ではなく、もはや神仏の一種と見なされているのであろうか。
弘法大師の厨子は2層のきらびやかな宮造りで、極彩色の組み物が精緻に作られている。
よく見ると、2階の欄干のところにとても小さな小さな人がいる。何か書をしたためているのか、僧に教えを乞うているのか…。
強い印象を残した厨子であった。
(2001年11月25日訪問)