報土院。
安楽寺の塔頭のひとつ。参道左側の一番本堂に近い側にある。
塔頭の側面は三十三観音堂になっている。
この先に見える本堂の横にも三十三観音があるので、このあたりは観音まみれだ。
山門は薬医門。
薬医門としては最も質素な部類と言っていいだろう。
山門を入ると境内は横に細長く、庭は建物の前にあるだけ。しかも建物への正面入口は沓脱石から縁側に入るという構造で向拝もない。こうして見るとお寺とは思えず、どこかの田舎の家の庭を見ているようだ。そこが逆に印象的で、この塔頭は記憶によく残っている。
建物の呼称としては、手前部分を方丈、奥部分を庫裏とでもしておこう。奥には東司が見える。
縁側は現代の住宅の間取りでは決して作られることはない。現代人が失ってしまったスローな時間が流れる贅沢な建築空間である。
(2002年02月09日訪問)