弥勒寺。東海市役所のそばにあった寺。
市役所というと町のど真ん中のように思われるかもしれないが、東海市の市役所は、普通の自治体でいうと郊外のスポーツ公園のような場所にある。したがって市役所のすぐそばと言っても、周囲の風景は里山に近い。
山門は八脚門の仁王門。仁王門は少し傷み始めていた。
参道には石材が打ち捨てられたように転がっていたり、草刈りも充分にされていなくて、雑然としている。林の中に埋もれるようにあるうらぶれた無住寺なのだろうか、参道からはそんなことが想像された。
山門内部の金剛力士像も激しく傷んでいる。
もともとは、漆塗りで仕上げられていたのではないだろうか。いまは下地まで完全に剥落していて、カスガイでつなぎ止めている寄木造の構造が丸見えになっている。
山門を過ぎるとゆるい坂道があり、寄棟の堂が見えてくる。
参道の先に見えていたのは弥勒堂であった。
境内は、山門付近の荒れ果てた印象とは打って変わって華やかな雰囲気だ。
特に、本堂の前にある巨大な八角形の店舗のような建築が目を引く。
あまりの異様さに気を取られて、この寺では本堂の写真を写すのを忘れた。このサイトを始めてからこれまで数百の寺を紹介したが、本堂の写真を撮り忘れたのはここが最初だと思う。ちなみに、本堂は開放的で、中で護符などいろいろなものを売っていた。
不思議な八角形の建築は、全周がガラスでできていて、軒と言わず天井と言わず、無数の提灯が下がっているせいで内部は見通せない。
「現世利益祈願塔」とか「御宝塔」と書かれていた。
ちょっと日本離れした感覚で、ミャンマーあたりにありそうな堂である。
内部はこんな感じ。
中央部は天井が高くしてあって、宝篋印塔があった。塔はもともとここにあって、その周りを囲むように建物を建てたのではないかと思う。
ここまでゴージャスに祀り上げている宝篋印塔は日本中探してもほかにはないだろう。
庫裏。
本堂の写真は撮り忘れたが、庫裏はしっかり写っていた。
その他の諸堂。
左から、伏見稲荷、天満宮、鎮守社、庚申堂。
弥勒堂の横にあった水盤舎。
こうしてみると、弥勒寺は財力のない寺のようには見えないので、八脚門付近の整備が望まれる。
(2002年02月10日訪問)