赤城山麓で稚蚕飼育所巡りを始めた最初の日に訪れていたのだが、紹介していない飼育所があった。それが、ここ「富士見村農協中央稚蚕人工飼料育センター」。
ここを訪れたのは、順番上は引田稚蚕共同飼育所の次であり3ヶ所目の施設だった。その当時、まだ稚蚕飼育所のことがほとんどわかっていなかったので、人工飼料育センターを飼育所の範疇に入れていいのかどうか判断できず、また、コメントも書きようがなかったので紹介を飛ばしてしまった。
いまならば、書くことも少しはあるので改めて紹介しようと思う。
飼育所は県道に面していて、ここを通ればすぐにわかりそうだ。
だが、その後何度かこの道を通っても飼育所が見当たらない。ホームセンターやドラッグストアでも建ったのかと思ったがどうも風景が違う。見つけたときには簡単に行けたのに、あとで同じ場所に行こうするとどうしても行けないという、モヤモヤしたスポットだった。
今回の記事を書くにあたって、施設の正確な位置を調べ直してみてその謎が解けた。この飼育所は現在は取り壊されてしまっていたのだ。
しかも、飼育所の土地は借地だったらしく、元の所有者に返却される際に、完全に元の畑の状態を回復させたのだ。
それがこの写真(2013年2月2日の様子)。奥に見える二階建ての住宅と中央の2本の杉の木の位置からして同じ場所だと確認できる。ここに飼育所があったとは、簡単にはわからない。
さて、建物が残っていた2007年1月に戻ろう。
建物の壁面には、「昭和59年度養蚕総合振興対策事業(稚蚕共同飼育所再編整備施設)」とある。
建物の北側には地下へ降りる斜路があり、地下に車を乗り付けることができる。
これまで見てきた飼育所では、地下は桑の葉を備蓄するための倉庫(貯桑場)になっていた。しかし、人工飼料育では飼料は保冷庫に保存する。したがって、この地下室が何に使われていたのかは謎だ。
建物の東側の駐車場から見てみる。
右側が事務所や宿直室への入口、左側に配蚕口がある。
配蚕口。
左側にはオレンジ色の農業機械がいくつか置かれているが、これが養蚕に関連するものなのかはわからない。根菜などを掘り出す機具のようにも見える。
配蚕口の左側には、人工飼料を室内にいれるトラップがある。このトラップの使い方については、碓氷安中農協の飼育所で使っているところを紹介しているので見ていただきたい。
この当時、この施設が何なのかもよく分からず撮った写真にしては上出来だったろう。もうこの写真だけが、この飼育所の最後の記録となってしまった。
(2007年01月14日訪問)