廿日市市の極楽寺山に着いた。三滝寺からは小一時間の移動だ。
本来のスケジュールでは、広島市内で一日すごし、夕方前に湯来温泉方面で宿を探すつもりだった。廿日市といえば、湯来方面から離れるエリアであり、進んではならない方角なのだ。
市街地のホテルと違って、温泉に飛び込みで泊まるのはむずかしい。宿探しには根気がいる。今ならiPhoneを使って手際よく探せるが、この当時はそんな環境もなく、電話帳片手にケータイで電話をかけまくるというスタイル。疲れていると気持ちも前に出ようとしないから、迷っているうちにどんどんクルマは進んでしまう。
廿日市に着いたときは半ば捨て鉢になっていて、もう今日は宿泊せずに極楽寺を見たら帰宅しようかと思い始めていた。
極楽寺山は、広島湾の西部で海岸からそそりたつ屏風のような山並みのひとつで標高は661m。
とはいえ、クルマで登る道が整備されているので、さして苦労せず山頂まで到達できる。
しかし車道は寺の昔からの参道ではないため、寺の裏側から侵入することになり、本坊より先に奥の院に着いてしまった。
道から入ってまずあったのは五輪塔。「一願堂」との扁額があり、絵馬が掛かっている。
佐和隆恵大僧正という僧が入定した墓で、誰でも願いを一つ聞き届けてくれるそうだ。
その前には2間四方の宝形の堂。
どうやら境内の裏側から入ってしまったようだ。
その前には入母屋造の拝殿。
寺に拝殿というのも変だが、まさに田舎の神社の拝殿のようなもの、としか言いようのない建物だ。
その前には、吹き放ちの堂。たぶん、鎮守社の拝殿ではないかと思う。
さらに進むと下りの石段になり、ミニ西国霊場になっていた。どうやらこれが本来の奥の院の入口らしい。
その可能性は限りなく低いが、もしもう一度来ることがあれば、ちゃんと正面から参詣したいものだ。
(2002年08月29日訪問)