赤城町津久田は利根川の河岸段丘の崖線の下にある集落で、赤城山の伏流水が豊かな場所だ。そのためだろうか、津久田には比較的規模の大きな水車小屋が多く建てられていた。
以前のレポートで私は「深山から JR 敷島駅までの道筋は水車小屋がたくさん残っていた地域で、高校のころに自転車を遠乗りして水車を見にきた思い出がある。水車小屋はいまでもいくつか残っており、いずれ訪ねてみたいものだ。」と書いている。
それから半年もしないうちに、水車小屋巡りが現実になった。高校時代のわずかな記憶をたどりながら、少しでも多くの水車小屋を再発見しようと期待に胸を躍らせていた。
ところがショックなことに、最初に訪れた水車小屋は、取り壊され更地になっていた。
これには目を疑った。なにしろ一番保存状態が良さそうで、残っている確率も高いと考えていた水車だったからだ。
場所を間違えたのかと何度も確認したが間違いない。
よく見れば水車の軸を受けていたコンクリートの支柱がまだ残っているではないか。
ここの水車は津久田の他の水車がそうであるように鉄製の水輪だったのだが、水輪の上に屋根が掛かっていたので保存状態が良かったのだ。
この柱の高さからも大きな水輪だったことがわかるだろう。
水は10mくらい上流から取水して樋を通って胸掛けにする構造だったと思う。
この川は水量が豊富で、水車を廻すには充分すぎるほどだ。
せめても、こんな場所に水車小屋があるのだという雰囲気を伝えるため念入りに写真を撮った。
(2007年05月04日訪問)