県道を南下して妙義町菅原の集落で飼育所を探すが見つからず、次の目的地、菅原神社境内の飼育所を目指した。
ところが神社の正規の参道に車を乗りつけてしまったため、神社まではかなりの石段がある。同行した友人は、循環器の大病を患った直後で激しい運動を禁止されていたため、私ひとりで神社へと向かった。
途中に両部鳥居がある。
神社の本殿はまだまだ先だ。
こんな場所に飼育所があるのだろうかと不安になりながら進む。
しばらく進むと巨大な倉庫のような建物が見えてきた。これが飼育所なのだろう。
扁額を見ると「菅原神社祭具倉庫」と書かれている。
『ひぐらしのなく頃に』というゲームがあり、その舞台となる神社に「祭具殿」という建物が出てくる。祭具殿はストーリーの序盤で特に恐ろしい場所のひとつで、プレイしたことのある人はその名前を聞いただけでトラウマがよみがえってくるのではないか。
おかしな話なのだが、普段は真夜中の墓地に行っても何も感じない私なのだが、「祭具倉庫」という扁額に少しおじけてしまっていた。なんだか妙な威圧感を感じる。
建物は斜面に建っていて、貯桑室は半地下で側面から搬入できたようだ。
貯桑場の中を覗いてみた。建物の床下になるので、すごく広い。桑を並べるにはこの何分の1でも充分だろう。
登りきってみると、クルマのための道があり、別の方向から境内までクルマで上がれることがわかった。
入口は中央にあり、左右両袖に飼育室があるタイプだ。吉岡町の中町稚蚕共同飼育所が似た作りだった。
中央の入口から中をみた様子。地下室から上がってくる階段があり、左右に飼育室があるようだ。
吉岡の中町飼育所ではこの部分に挫桑室や宿直室、水まわりなどがあったのだが、ここでは地下への入口だけ。挫桑作業は広い地下でやったのかも知れない。宿直室は別にあったのだろうか。
北側の飼育室。
ブロック電床育で片側3室の合計6室。
小屋は木造トラスで雨漏りなどもなく奇麗な状態だ。
南側の飼育室。
片側2室の合計4室。
全部で10室なのでブロック電床育の飼育所としては特に大規模というわけではなく、飼育室を左右に分けなくても1部屋に10室の飼育所は普通に存在する。
この飼育所が飼育室を左右に振り分けたのは、給桑のための移動距離を少なくする工夫だったのだろう。
もう養蚕の道具などは残っていないが、神社の倉庫としてこれからもしばらくは残っていく建物だろう。
(2008年05月03日訪問)