
本村の飼育所を見て県道にもどったところで、すばらしいものを見かけた。
「高田公会堂」というオーナメントが掲げられているが、これはどうも村の芝居小屋のようだ。
群馬県の芝居小屋というと、大間々にある「ながめ余興場」が有名だが、こんな場所にも芝居小屋が残っていたなんて知らなかった。

2011年現在、googleでこの高田公会堂を検索しても写真や説明のあるページがまったくヒットしない。
おそらく本ページが、ネット上での初出になると思うのだが、群馬県の郷土紹介系ブロガーの方々は何をやっているのか。
これを他県の観光客に紹介されてどうする。

現在は、集落の共同の管理になっているという。
管理をしている方にお願いして中をみせてもらえることになった。

内部は吹き抜けのホールになっていて、舞台、二階桟敷もある。天井は緩いカーブになっていて音響も考えているのだろう。かなり本格的だ。
村の青年による芝居や、旅役者などがここでを芝居を上演したという。主に戦後の歌舞伎や芝居が中心で、移動映画などはなかったそうだ。

正月には高田神社の祭礼もここで行なうということで、祭具がしまってある。
下はモルタルの土間で、集落での共同作業に使うという。繭の出荷する前の選繭をしたり、肥料を配合したりしたという。
芝居、農作業、町内の集会に使える多目的な建物なのだ。

現在は、横に新しい公会堂が建ったため、町内の集会を行なうことはなくなっている。
取り壊されてしまわないかかなり心配だ。

舞台からみて正面の二階桟敷の下は、鉄の柱で支えられてて、左右の桟敷とはやや構造が違っている。
もしかするとここだけ後から増築されたのかも知れない。
奥に二階桟敷に上る階段が見えている。

二階桟敷に上ってみた。
正面の桟敷が一段高くなっているのがわかる。

二階桟敷から一階を見下ろしたところ。
芝居小屋はこのアングルからみたときが一番わくわくする。

舞台にも入らせてもらった。
舞台は戸を閉じると会議室として使えるようになっている。すごく合理的に作られているのだ。
この建物、市指定文化財にするには一歩及ばない感じもあるが、ユニークな建築であり、ぜひ末長く残してもらいたいものだと思う。
(2008年06月28日訪問)