上高瀬公会堂

飼育所の跡地の典型的な利用例だろう。

(群馬県富岡市上高瀬)

写真

稚蚕飼育所巡りの過程で、飼育所がなくなってしまっているいわゆる「空振り」のスポットは、ページで紹介した飼育所の倍くらいはあったのではないか。これまで、そういう場所はいちいち書いてこなかった。また「飼育所とはこういうものだ」という鑑定方法は何度も書いてきたが、「これは飼育所ではない」という例は紹介してこなかった。

そこで、一度だけ空振りスポットの例を挙げておこうと思う。

写真

これは、上高瀬稚蚕共同飼育所があった場所に建てられている、上高瀬公会堂だ。

建物の外観はほぼ飼育所と似ている。区別できるのは南側にたくさんの引き違い戸があり開口が多いこと。また、切妻の妻側に開口がないことが挙げられるだろう。つまり建て替えられて、跡地が公民館になっているのだ。

飼育所の跡地はこんなふうになっている場合が多い。

写真

公会堂の西側には広場があり、草野球のグランドになっている。ざっと見たところでも30アールくらいはありそう。ここは昔は共同の桑園だったのではないだろうか。

写真

広場の一角で見かけたパワーショベルの遊具。

同じものをやはり富岡市内で見たことがあるので、一点モノではないようだ。本物のパワーショベルと似たような動きをさせることができる。

写真

上高瀬公会堂の近くで見かけた繭倉庫と思われるもの。

現在は「コマキン」という精密機械の工場の敷地内になっている。この場所はもと上高瀬組合製糸という組合製糸があったようだ。

あらためて地図を見ると、敷地の背後には用水や川があり、製糸工場の立地として適しているように思える。製糸には繭を煮るための大量の水が必要だし、水車で動力も得ていたかもしれない。

写真

同じく、近くで見かけた養蚕農家。

地下室のような部屋がある。いまはトラクターの車庫として使われているが、本来は貯桑室だったろう。

(2008年07月12日訪問)

オオカミは大神 狼像をめぐる旅

単行本(ソフトカバー) – 2019/4/18
青柳 健二 (著)
オオカミに対する関心が高まる昨今、狼信仰の影響を色濃く遺す狼像を求めて、関東はもとより東北、関西など各地を訪ねて写真と文章で表現した渾身のフォト・ルポルタージュ。

amazon.co.jp

登場する石像の場所が地図や住所で具体的に書かれているので、オオカミ象巡りにはとてもオススメです。