あるとき、ドライブで万場町を通過したとき、左写真のような風景を見つけ、思わずクルマを止めた。気がつかれたであろうか、古い映画館である。
テレビが普及する以前には、町々に芝居小屋や映画館があって娯楽となっていた。そうした劇場は、市部だけではなく、周辺の小さな町村にも存在していた。
私は以前住んでいた徳島県で、広範囲に映画館跡を探し回ったことがあって、田舎の小さな町での劇場にはかなり敏感な体質になっている。
だが群馬県では、以前に高田公会堂を見つけたくらいで、あまり成果を挙げていない状態だったのだが、ようやくひとつ発見することができた。
教会の尖塔のようなオーナメント。
扁額には「萬盛座」と書いてある。
現在は自動車整備工場として使われているようだ。
通りに面した側には二階がある。手すりの様子から、映写室のためだけの造りではなく、二階席があったように見える。
だとすれば、この劇場はもともとは映画館ではなく、芝居小屋として建てられた可能性がある。
舞台側。
舞台は取り払われているが、太い梁があるところまでが舞台だったのではないかと思う。
この太い梁に舞台幕がつり下げられていたのだろう。
小屋組みは木造トラスのほかに、火打ち梁。木造の大空間はいまも健在だった。
(2012年11月22日訪問)