ナンロン峠の土柱

浸食で地中から石の柱が現れる。

(ミャンマーカレン州パアン)

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パアン市街から AH1号線を南東方向へ走る。約10kmほど行ったところに小さな峠がある。コウカッタン洞窟寺ラカナ橋はこの峠のすぐ手前になる。

おおまかにこの峠までがパアンの町で、峠から先はナンロン村という感じだ。峠の名前は、たぶんナンロン峠だと思う。

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そのナンロン峠には不思議な地質の露頭がある。

ラテライトと思われる赤土の表土が崩れて、その下から風化した石灰岩が露出しているのだ。

石灰岩はまるで城郭か寺院の廃虚を思わせる形をしていて、いわゆる土柱のような奇観を作っている。

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石灰岩体はおそらく過去に隆起した時代があって地表で風化を受け、このような石垣状の亀裂を生じたのだろう。その後隆起が止まり、植物が作り出す表土に覆われていったん山の中に埋もれた。

そして峠道を造成したときに崖を切り崩したのがきっかけとなって、表土の流出が始まり、再び岩体が地表に露出したのではないか。これだけの表土がたまるのに、何万年かかるのか何十万年かかるのか。

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地元の人たちはまったく観光要素と考えていないけれど、けっこう見ごたえがある露頭だ。

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近くでは石灰岩を採取している人が、作業小屋を建てて住み込みで働いている。

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亀裂が入った石灰岩は大きな機械を使わずに、細かく砕くのに都合がよいのだろう。

野球ボールから人の頭ほどの大きさに砕かれて、造成地や道路を造るときの基礎に使われるのだと思う。

(2014年07月13日訪問)

カレン民族解放軍のなかで

単行本 – 1994/1/20
西山 孝純 (著)

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