マハエントゥカンタ大仏

中国への輸送中、車から転落してこの場所に鎮座した。

(ミャンマーマンダレー管区ピンウールィン)

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マハエントゥカンタ大仏は、ピンウールィン市街の北のはずれにある観光寺院。

正式名称は、マハエントゥケンタ・スータンピェアジ、「願いのかなう不思議な大仏のパゴダ」というような意味。

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山門のわきには僧房がある。

華やかな装飾の僧房だ。

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山門は北側にあり、本堂へは長い参道を登ってゆく。

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本堂はバガンのアーナンダ寺院を模したものだ。

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階段のわきには謎の動物がいた。

これ、以前にヤンゴンのスウェドゥパゴダでも見たな。

スウェドゥパゴダも「アーナンダ造り」の一種といえるものなので、アーナンダ系寺院特有のものなのかもしれない。

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ここでは子供がまたがって遊んでいた。なんだか、動物の表情も喜んでいるみたいに見える。

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本堂の入口には電光掲示があった。

おそらくお寺の名前を表示しているのではないかと思う。似たようなものを他でも見た事がある。

拝観は無料だがカメラチャージ30円が必要。スマートフォンのカメラでもカメラチャージが必要なので、払い忘れないように注意したい。

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本尊は日本の基準で言えば大仏。ミャンマー基準でもたぶん大仏であろう。ひとかたまりの大理石から切り出されたものだ。

マンダレーの近郊には大理石の産地があり、石造の仏像が盛んに作られている。この仏像は1997年にそこで作られた3体のうちのひとつで、国道3号線を通って中国に運ばれるところだったという。ところがこの場所でトラックの荷台から仏像が転落してしまった。

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中国人たちは何とかトラックに仏像を積み直そうとしたが、どうしても仏像が動かず、しまいにはあきらめて残りの2体だけを持って立ち去ってしまったのだという。

この仏像はここに安置されたがっているのに違いないと考えたピンウールィンの人々は、寄付を集めここに寺を建てたのだそうだ。

ミャンマーでは大仏は東を向いていることが多いそうだが、この仏像が北を向いているのは、中国の方向に向けたためだという。

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参道で花売りがいたので、奉納用のジャスミンを購入した。

ジャスミンの花弁に糸を通してネックレスのようにしてある。匂いを楽しむためのものである。

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大仏の前に、ジャスミン奉納所がある。

ここにお供えしてから跪拝すればよい。

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本堂内の柱の装飾。

コンクリでできているが、金色のペンキが塗ってあり、ゴージャスに見える。

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奉納された宝物が展示されていた。

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すべて純金なのだろう。

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下段は宝石類。

ミャンマーは宝石の産地でもある。

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蓮の糸で織られた袈裟。

とても高価なものだ。

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壁際には正方形のレリーフが並んでいた。これはアングリマーラ(指鬘(しまん)=指の首飾り)という男の物語。

アングリマーラはバラモンの修行僧だったがあるとき恩師の妻に誘惑され、それを断ったために陥れられて寺を追放されてしまう。そして邪教を信じるようになった。その邪教では100人の指を切り落として首飾りにすれば何でも願いがかなうと信じられていた。アングリマーラは次々に人を襲い、99人の指を切り落としたが、最後には人々は彼を恐れて誰も近づかなくなっていた。

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アングリマーラがやっと100人目の犠牲者を見つけたところ、それは彼の母親だった。アングリマーラが躊躇していると、仏陀が現れ彼を改心させて弟子にした。

ところが彼の前科を知っている人々は、仏陀の弟子になった後も彼を恐れ迫害した。あるとき彼が托鉢していると難産に苦しむ妊婦がいた。仏陀はアングリマーラに「私は弟子として生まれ変わった者だと伝えなさい」と言った。彼が妊婦にそのように伝えると、無事に子供が産まれたという。過去に罪を犯しても、仏門に入り正しく信仰すれば聖人になれるというようなお話し。

全部のレリーフの意味がわかったら面白いのだろうな。

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お寺は巨大だが、堂宇は本堂だけでやや大味である。

鐘つき柱も持ち運びできそうな簡単なものだ。

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西側には噴水池のようなものが見えた。

もう日がおちかけているが、まだ参拝客がやってきていた。この寺は夜に参詣する人も多いという。

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境内は段丘上にあり、北側の田園の眺望が見事だ。

(2014年11月28日訪問)

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地球の歩き方編集室 (編集)

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