サルウィン川の左岸(東岸)に戻り、そこから川沿いの村々を経由しながら南下してみることにした。
今夜は夜行バスで帰国の途につかなければならないから、帰路を考えて残り時間の半分を切ったら、その場所までで引き返すことにした。
途中、サルウィン川の河港町、トンェイン町で冷たい飲み物を飲んで一休み。そこから先は、急に路面が悪くなる。何度も引き返そうかと思ったが、もう二度とこの道を来ることはないだろうと思い、行けるところまで行くことにした。
やがて道は洒落にならないほど荒れてきて、どうしようもなくなってきた。
時間的にも、このあたりが潮時かと思われた。
そのときふと見るとタバコが植えられているのが見えた。
タバコ畑は以前にも、サルウィン川の上流でも紹介したが、なぜかパアン市周辺では見かけない作目だ。
ちなみに私は喫煙はしないけれど、作物としてのタバコには興味があり、畑があればチェックしたくなってしまうのである。
前回のときは団体行動中だったので、車窓から見ただけだが、今回は自分ひとりなので畑の中に入ってみることにした。
場所はほぼ河原というか、サルウィン川の氾濫原の砂地で非常に広大。おそらく2~3ヘクタールはあるのではないか。
ところどころ冠水したと思われる場所があった。冠水によって天然の肥料が畑に入るという圃場なのかもしれない。
もっとも冠水のせいで畑が荒れているという側面もあり、全体的にみてタバコの品質はあまり良いとは思えない状態だ。
ミャンマーの田舎の農家の圃場を見て、他の作物でも全般的に言えることだが、仕事が雑。日本の農家では考えられないような状態の畑を多く目にする。
このタバコも、株立ちが小さく、葉も小さく、茎もか細い。しかも開花してしまっている。日本のタバコ栽培では花に余計な栄養をとられるため開花はさせないのが普通だ。
もともとそういう品種なのかもしれないが、日本で栽培されているタバコに比べると収穫量も少なそうで、やけに貧弱に見えてしまう。
タバコ栽培では、作物だけでなく、収穫した葉を熟成させるためのプロセスや設備のほうが興味深いところなのだが、近くに農家もなくそれはわからなかった。
今後もし時間があるときにタバコ畑を見かけたら、ぜひとも栽培農家を探そうと思う。
これが今回のミャンマー訪問で、パアン市の最後の見学場所となった。
河港町トンエィン畑の様子は紹介できなかった。村内のパゴダなどに立ち寄らなかったので、またいつか来ることもあるだろうと思う。
(2015年05月03日訪問)