
ほとんど人の行き来がないまっすぐな道。どこへ通じているのかも知れない初めての道をゆくのは気分がいい。
前方に特徴的な形の山が見えてきた。

以前、パアプゥ山に登ったとき北の方角に見えたミザン山だ。その後も、タンガリー僧院の丘の上の本堂からもこの山を眺めて「いずれ行くことになるだろう」、と書いている。
その山がだんだんと近づいてきた。
山は見る角度によってその形を変えるが、ミザン山は南東のこの角度から見るのがいちばん優美ではないかと思う。
斜面の一部は岩がむき出しの崖になっていて、山頂には金色のパゴダが見える。場合によっては、あの山頂まで登ることになるかもしれない。面白いものがあればだが。

ミザン山の南麓にお寺があるのかどうかは、航空写真からは判然としなかった。お寺のようにも見えるし、採石場の宿舎かもしれなくて、行ってみなければわかりそうになかった。
だが街道からそれて山へと向かう道に山門があった。どうやらお寺がありそうだ。

ミザン山へと向かう長い参道を進む。

振り返ると、山門がもう遠くになっている。


建築工事をする人たちの宿舎か。

奥まで入っていったら、参拝に来ていたと思われる夫婦がいたので、寺や山の名前を訊ねてみた。
すると、なんと日本語で返事が返ってきた。旦那さんが以前日本で働いたことがあるとのことで、日本語ができるのだった。
この山は「ミザン山」という名前であり、洞窟などはないということがわかった。

でもせっかくなので、山の周りを少し巻いてみた。
ミザン山はサルウィン川に突き出すような立地なので、この道は川岸まで続いているはずである。

山には点々とパゴダが見えたが、まあ登ってみても、ここから見える以上の発見はなさそうだ。

山の西側、つまりサルウィン川に面した側は採石場になっていた。
サイコロのように劈開する堆積岩の崖で、道路工事などで使うバラストとして切り出されているのだろう。もっとも重機などはなく、おそらく手作業で切り出しているだけの採石場だ。

切り出した石は、サルウィン川を使って運び出しているのだろう。
(2015年11月22日訪問)