久世町の民宿で目を覚ます。
久世町と勝山町はこの後も湯原温泉郷を訪れるため何度か通行したことがあるのだが、いずれも夕方や夜。朝のすがすがしい光の中で見た久世町はこのとき限りの体験であった。
きょうからは鍾乳洞巡りが始まるのだが、昨夜、地図帳で目的地をチェックしていたら勝山町内で見落とした寺があったので、まず寺に向かうことにした。
訪れたのはJR中国勝山駅の裏側の丘の上にある、勝山大師堂。
城下町の寺町の他の寺々とはちょっと離れた場所であり、新興寺院っぽい風情の寺だ。
駅のほうから来るとまず庫裏がある。写真右手に見える庇は子育て観音。
庫裏の隣りには灯籠堂という名前の建物。
客殿であろう。現代の寺院では、法事などの際、信徒が休憩する場所である。
庫裏の横に広い駐車場があり、五色のノボリがはためいていた。
ここから境内を眺めると、何といっても目立つのが巨大な鐘楼。
階下に送迎バスが収容できる大きさ。
特に記載はなかったが、鐘楼としては日本最大ではないだろうか。鐘楼だけで、一家族が暮らせる家ほどの容積がある。
鐘楼へのアプローチは両側を手すりで区切られた通路である。
この通路を通らなくても鐘楼にはたどり着けるのだが、あえて手すりで囲って、歩く場所を指定しているのだ。
通路には小さな鐘が下がっていて、これを叩きながら鐘楼へ進むという趣向。
このように参詣者の動線を構造物によって制限して、順番に参詣させる(ここでは小鐘を搗かせる)ような信仰方法を当サイトでは「巡礼空間」と呼んで愛好している。
この巡礼空間は、動線が90度曲がっているだけで単純なものだが、これがあるだけで鐘楼へ登るルートがかなり楽しいものになる。
こうして写真を見ると、普通の梵鐘のように見えるが、実際は軽自動車ほどはある大きさ。全体的にスケールがおかしいのである。
本堂。
その奥にあるのは寺務所か方丈のような機能の建物だろうと思う。
毎月21日が弘法大師の縁日。1の付く日が勝虎(?)の縁日。
ほかにさまざまな例祭があるようだ。
(2003年05月01日訪問)