ナンロン村の木造堰

木と竹でできた堰。

(ミャンマーカレン州パアン)

1月4日、ミャンマー独立記念日で祝日。パアン市の南方面へでかけることにした。元旦の寺巡りの延長で、ナンロン村からエインドゥ町へ、そしてターマニャヒルの門前町であるウィンセイン町を目指すつもりだ。

遠出するのではなく、近場でもこれまで通ったことがない道を通り、より多くの村を知ることがきょうの目標である。カレン州全体ではまだ一般観光のネタになるようなスポットも残っているが、いっぽうでパアン市の近傍ではひときわニッチで網羅的な探索へと切り替えていくつもり。どちらかというと、華やかな観光地よりもなにげない村やさびれたパゴダを訪れたほうが強い印象を残すのだ。性に合っているのだろう。

ナンロン村からエインドゥ町へ行くには、通常は国道AH1号線を通るのだが、きょうはあえて間道へ入り、普段と違う橋を渡ってみた。

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この川は現在は用水路のようになっているが、地質的時間で見たらサルウィン川の川跡ではないかという気がする。

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その橋のたもとの巨樹で伐採の作業をしている男がいた。

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半袖シャツと短パン、おそらく裸足だろう。安全帯を付けている様子もなく、およそ高所作業をするといういでたちではない。

しかも使っているのが弓ノコ。

日本人の感覚からすれば道具がなくて不可能と思われる仕事も、道具がないなりになんとかしてしまうのがミャンマー流なのだ。

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この川はサダンケーブ付近から、パアン市まで北に向かってながれる人工の水路。もともとあった流れの悪い河川を拡幅し、湿地帯の水を排出するために開削されたのではないかと思う。

以前に下流のパゴダ四つ手網漁を様子を紹介したことがある。

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この水路の周辺は乾季でも田んぼが青々としている。

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道ばたで興味深いものをみつけた。

木造の(せき)だ!

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用途は、水田に水を入れるためではないかと思う。

あるいは、漁獲のための大規模な仕掛けという可能性もあるが魚を受ける部分が見当たらない。

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水位差は60cmくらいだろうか。

かなりの水圧がかかっていると思うが、丸太と竹、網代だけで持ちこたえている。

これも先ほどの巨木伐採と同じで、あるもので間に合わせてしまうミャンマーのパワーのなせるわざである。

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かつて日本でもこうした木造ダムが造られたこともあった。有名なものは林業で材木を搬出するために渓流に作られた鉄砲堰と呼ばれるものだ。

だが、おそらく現在日本にはこのような木造ダムは(仮設をのぞけば)存在しないのではないかと思う。

コンクリと木造の混構造のものならば鹿児島にあるらしい

(2017年01月04日訪問)

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文庫 – 2009/12/1
小田 敦巳 (著)

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