県営住宅、小松島団地の2号棟の前の公園にあった滑り台。
滑降部が樹脂製で、全体の意匠は鳴門市の東浜第3公園の台によく似ている開放デッキ台だ。
見てびっくりするのは、その滑降部の表面の荒れ方だ。
このタイプの台は3例目。他の2台には摩滅によるFRP層の露出は見られなかったが、この台は無残なまでにガラス繊維層が露出している。
全体の面積から見ても7割程度の面積が完全にガラス繊維がむき出しになっているのだ。摩滅に弱いのが FRP 樹脂台の欠点とはいわれているが、これほどまでに摩滅した台は初めて見た。他の2台がほとんど摩滅していないのに、この台がこれほどまでに摩滅しているのは、単に子供の数が多かったからなのか、それとも他の台ではコート材の種類や厚みに仕様変更があったからなのかはわからない。
なお、ガラス繊維が露出しているといっても実際に触ってみると、ささくれて手や尻に繊維が刺さるようなものではなく、意外にすべすべとしている。
裏から見ると、陽光が透けてまるでガレのガラス細工のようだ。よって、本物件を「ガラスの滑り台」と命名する。
全体の意匠は他の2台と似ているので、同じメーカーのものと考えてよいだろう。
ただし、デッキ部分の手すりの束柱の数が2本しかないなどの差違もあるし、全体の摩滅や腐食の状況からみても、より時代が古いものではないかと推定される。
滑降部下部のR部分は最も摩擦の強いところで、破損も激しい。いま私が指で強く押したら破れて、この滑り台の命は尽きてしまうだろう。はかなすぎる。
滑降面下部の折れ曲がり部分は一体成型になっている。他の2台では一体成型でなく、垂直部分の板を接いである。
この垂直部分は滑降には関係ない面なので、継ぎ目があってもさしつかえなく、その点でも他の2台のほうが後の時代のものではないかと思えるのだ。
こんなになるまで子供たちに遊んでもらえたこの台は幸せな滑り台といえるだろう。
(2003年09月15日訪問)