このころ私はスキューバダイビングにはまっていた。(徳島)市内から県南へ行くには、海岸沿いを通る国道55号線がほぼ唯一の方法だ。朝は時間が決まっていたので国道55号線を飛ばしてエリアへ向かい、帰路はあまり急ぐこともないのでのんびりと帰るということが多かった。
市内と県南を結ぶルートとして酷道193号線というキチガイじみた方法もないではないし、何度かその道で海部までへ行ったこともあるけれど、ダイビングの後わざわざ標高の高い峠を選ぶべきではない。水圧のかかった場所で加圧した空気を呼吸すると血液に過剰な窒素が入り、減圧したときにそれが気化して減圧症という恐ろしい障害が起こるからだ。
それでもきょうは、毎度の55号線を走る気にならず、日和佐から県道19号線へ入って、日和佐→鷲敷→加茂谷→飯谷と裏道をのんびり帰ることにした。
日和佐から鷲敷町へ入って那賀川の右岸を走っていると、分校跡のような建物があり、その校庭には遊具が残されていたので車を止めた。
どうやら小学校の跡地のようだ。
名前は「雄小学校」。「雄」は難読地名で「おんどり」と読む。
滑り台観察では、学校などの敷地は紹介しないという仁義があるが、ここはもう閉校して公民館になっているのでいいだろう。
せっかくなので建物も紹介しておこう。
校舎(?)は二階建てで一階は和室になっているっぽい。教室があるとすると二階か? 表札には「雄公民館」と書かれているので、もしかすると、すでにこれは学校の本来の建物ではなく、跡地に建てられた公民館なのかもしれない。
滑り台はブランコとの複合台。滑り台の滑降方向とブランコの振りが直角になったタイプ。かつて県西の桜ケ丘公園で見た台と同じパターンだが、共通の設計という感じはしない。並行進化の結果だろう。
滑り台が両サイドにあり、タラップもそれぞれにあるため、ブランコの上を歩けることの必然性がよくわからない。
だが、ユニークな台であることは間違いない。
学校の滑り台は紹介しないことになっているが、実は学校には個性的な台が多いのだ。
滑降面は塩ビパイプ製。
タラップから滑降部への動線は「右反転型」。滑り台保存館でいうところの「C型」である。当サイトでは初出となる動線。
滑降部のパイプは串刺しに固定されてた。これはいままでに見た塩ビパイプ台とは異なる構造。
間にスペーサが入っているため、かなりの隙間があり、地面が透けて見える。
タラップは溶接した角パイプで一見すると登りやすそうだが、よくよく見ると手すりがない。
まあ、側桁をつかんで登ればいいので大した問題ではないが、思い切った設計といえるだろう。
デッキから北側の滑降部を見たところ。
これは、同じ写真ではない。
南側の滑降部である。違いは電柱があるかどうか。
滑り台の横にあった太鼓雲梯。
校庭にはほかに、単独のブランコ、ジャングルジム、鉄棒があった。
(2008年08月30日訪問)