きょう最初に予定していた訪問地、花岡八幡宮。

天王台団地を離れ、国道2号線を横断しようとするポイントから八幡宮の社殿が遠くに見えてきた。これは期待が高まる。

この八幡宮もこの旅のテーマである、重層の社殿があるのだ。

神社の前は山陽道が横切っており、参道の奥の小山の頂上に神社が見える。

実は神社の駐車場は山上にあるので、駐車してすぐに本殿に参拝できるのだが、一応、本来の参詣順路にそって説明してこうと思う。そのために駐車場からわざわざ山を下って参詣し直している。

駐車場が便利な場所にある社寺でよくやるパターンだ。

周囲は宅地化が進んでいるが、神社のある山だけは取り残されるように森になっている。

その山を巻くようにきれいな小川が流れていた。

八幡神社の石段を登るまえに、左手に花岡天満宮という神社があった。

規模からすると摂社末社ではなく、独立した別の神社かもしれないが、写真の撮り方が末社扱いで大ざっぱになってしまったので、花岡八幡宮の一部として紹介しておく。

ちなみにこの横には別当寺である、閼伽井坊という寺があり、そちらは丁寧に写真を撮ったので、別記事として書こうと思う。

八幡宮の石段から天満宮を見下ろしたところ。

入母屋の拝殿→石の間→一間社流造の本殿という型式。

八幡神社の石段を登っていく。

途中に面白い形の石灯籠があった。笠の部分に宝珠型の穴が開いている。

石段を上がると、随身門の楼門がある。

1層は和様、2層部分が一部弱い唐様の折衷様式。垂木、斗栱も太く力強い建物だ。

総欅造りで、年代的には新しそう。

その先には多宝塔がある。

多宝塔はそもそも密教の建築物で、つまりは仏教建築なのだが、神仏混交時代のなごりとしてそのまま神社の境内に建っている。現在は扱いとしては、神社ではなく閼伽井坊の所属となっている。

室町時代の建築と推定されていて、国重文。全体的な姿は美しい。確かに古い時代の建築を思わせる。

ただし、全体的にはかなり補修されていて、テクスチャには時代相応の古さは感じない。廃仏毀釈の時代に荒れ果てたのを、昭和にきれいに作り直してしまったのではないだろうか。

屋根はこけら葺き。意匠は1層、2層とも和洋。

多宝塔で2層も和様というのは珍しいのではないかと思う。

近くには鐘堂もあった。

これもおそらく別当寺の所属だろう。

多宝塔前からさらに石段を登ると、いよいよ山頂の社殿へと至る。

石段の途中には社務所がある。

社務所のまえには石造と木造を組み合わせた灯籠のようなものがあった。

さて、これが花岡八幡宮の最大のウリでもある重層の拝殿だ。

第一印象として、「これって二重門の転用？」というような建物だった。いや、むしろ禅宗の仏殿のような建物と言っていいかもしれない。

いずれにしても、かなり仏教要素の強い建築物で、神社の拝殿としては分類が困難。

後ろ側には幣殿がある。

本殿は三間社流造。

瑞垣があって写真は撮りにくい。

こうして後ろから見ても、重層の拝殿というのは見慣れない風景だ。

本殿の周りを見て行こう。

拝殿の左側には信徒会館っぽい建物があり、その一角が神馬舎になっている。

その隣には末社団地。

その隣には用途不明の建物があった。

神さまに捧げる食物などを扱う、神饌所ではないかと推定。

続いて、拝殿の右側。

石段を上がってすぐ右側には信徒休憩所。

その隣には神札治所。

本殿の裏手には裏参道があった。