桐岳寺の東隣りにある神社、田原神社。
隣りといっても、桐岳寺が谷にあるのに対して、田原神社は尾根にあるので雰囲気はまるで違う。
時節柄、ツツジが咲き誇っていて新緑の境内は気持ちがいい。この神社の一番いい季節かもしれない。
参道は尾根筋を石段で登っていく。
一の鳥居の横には、
来待石とは松江市内、宍道湖の南岸の丘陵地帯で産出する砂岩。石灯籠が地域の名産品となっている。加工性がよいため狛犬に使われることも多いという。
足下には子どもの狛犬がまとわりついているスタイル。
ときどきこういうスタイルの狛犬はあるので、ものすごく珍しいというわけではないが、見つけるとちょっとうれしくなる。
左側の狛犬。狛犬だけで像高1.5mくらいあり、狛犬としては立派な部類だろう。
こちらは仔狛犬が基壇から転げ落ちそうになっている。
その背後には今度はライオンふうの狛犬。
ライオンふうというより、ライオンそのものと言うべきだろう。
狛犬好きにはたまらない物件だろう。
狛犬群を過ぎるとまだ石段。
石段を登ったところから、右のほうへ行く石畳がある。
ここは社務所になっている。
参道から横のほうへ建物が並んでいるので、この屋敷を「ヨコヤ(横屋？)」というそうだ。
ヨコヤの入口は三間一戸の棟門。
中の社務所。
正面の玄関のほかに、斜めのルートがありその先は式台玄関になっている。
社務所から参道に戻り、また石段を登って行く。
境内の石灯籠の宝珠部分が動物になっている。
干支の動物すべてがあるようで、今年の干支は乙酉ということで案内がついていた。
石段を登ったところに踊り場があり、左側には水盤舎がある。
その後ろには末社は愛宕社、若宮社、天満宮を合祀した小さな祠。
右側には、やはり末社の稲荷社(左)、
歳徳神はいわゆる年神さま。方位に関係する神様で、年ごとに方位を変えて祀られることがある。
これだと方位が固定されてしまうので、中で神さまが回転するのか、あるいは複数の祠があり年ごとに中身だけが遷座するのか。
この踊り場から見上げると石灯籠を貫でつないだ玉垣がある。
鹿形の狛犬。いや、狛鹿か？
石段を登り切ったところには大きな八脚門の随身門。檜皮葺き。
三間一戸といえば三間一戸だが、中央の1間が異様に広いので、バランス的には五間三戸的でもある。
正面は拝殿。
切妻向拝が巨大な独特の造りだ。
島根県の神社を代表する出雲大社もそうだが、それ以外にも大きな切妻向拝を持つ神社が多く、これは島根県の拝殿建築の特徴ではないかと思う。
向拝というのはこの部分のこと。
1棟の拝殿に対して、2棟の春日造りの本殿が接続している。屋根は檜皮葺き。
どうやら元々は2柱の神社があったのが合体して現在の形になったらしい。手前が稲荷神社、奥側が春日神社とのこと。構造はいずれも春日造りで、外観からはわからない。
裏側から見ると2棟の春日造りが連結したように見える。面白い造りだ。
拝殿の左側には神楽殿。
周囲には末社がたくさんある。
梅宮神社、水神社、など。
本殿の裏手の森の中にも荒神などがあるので油断ならない。
（2005年04月30日訪問）
