出雲市には開口した古墳がいくつかある。そのうちひのひとつ、築山古墳というのを探したのだが中々見つからない。なにしろ GoogleMaps のない時代、大ざっぱな住所と地図帳だけで古墳のような史跡を見つけるのは簡単ではないのだ。
ウロチョロしていると、古墳の立て看板があり「ここかっ!」と入ってみたら、探していたのとは別の「地蔵山古墳」という古墳だった。
駐車場はあるが車1台か、無理すれば2台おけるかという面積。墳丘はかなり削られていて、いまは石室の回りだけが残っているというような状況だった。
石室がある場所は他の住宅がある土地のレベルより2~3m高い丘陵の中腹といった地形で、廻りの丘陵とみえる地形ももしかしたらもとは古墳の一部だったのかもしれない。
石室は見事なまでに開口している。
何度か書いているけれど、私は特に古墳愛好家というわけではないので、開口していない古墳にはあまり興味がなく、訪問するのはもっぱら開口した古墳となる。
石積みは大きな石を使った切り石積みで、キレイに平面が出ていることから、古墳時代末期の造営であろうことがわかる。羨道部分は3mくらいでその先に石組みで明確に作られた玄門が見える。(右側に斜めに模様が見えるのは彩色ではなく、光の加減)
玄門を過ぎ、玄室に入る。
玄室の中にまた壁があり、前後に区切られているのだ。第2の玄門といった感じなのだが、この門は巨大な石を左右から組み合せた強固な作り。まさに死者の国と現世を隔てる門という風情。これまで見たことがない神々しさ。
その奥に石棺のフタが見えている。
かなり古い時代から開口していたようで、内部には地蔵菩薩が祀られている。古墳というよりも、胎内霊場を見ているような印象だ。
石棺は横置き、横口式の家形石棺。左右は石室内部の壁と一体化している。石棺そのものが石室になっている「石棺式石室」との中間形態みたいな不思議な作りだ。
石棺側から羨道方向を見た様子。
(2005年09月02日訪問)