目的地の峰寺(みねじ)は、三刀屋町の郊外の山の上にある。

役小角の創建という伝説を持ち、平安時代に繁栄した修験道の寺。現在は宗派は真言宗御室派。

全盛期には42坊を数えたという一山寺院で、現在はどうなっているのかが気になるところだ。

細い山道を登り詰めると寺があるが、車は寺の奥のほうの伽藍、観音堂に駐車した。

観音堂の裏手にあった鎮守社の稲荷社。

観音堂の前には「行者寮」という建物。

手前が茶堂、奥が参籠所になっているのだが、全体的には「通夜堂」と言っていいのではないだろうか。

観音堂でお百度参りをするようなときに、信徒が宿泊するための堂ではないかと思う。

観音堂から本坊へは100mほどなので、車を置いたまま徒歩で本坊へと向かう。

途中には石仏が並んでいる。

本坊の入口にあるのが、この形容しがたい堂。

内部が通り抜けできる信徒休憩所とでもいえばいいか。でも堂の手前左右に出っ張りがあり、内部に仁王像が納められているので、仁王門ともいえそう。

とにかく何だかわからない。

右側の仁王像阿形。

左側の仁王像吽形。

屋根には鵄尾が載っている。

この謎の建物を通り抜けて、裏側にでたところ。

謎の建物を出たところには、中門の四脚門がある。

この門は箱棟が石製。

中門の左側には異形の庫裏。

3重2階の建物で、建て増しした旅館みたいな風情。

中門の右側には異形の本堂。

重層の建物で、おそらく内部は1階。

年代は江戸後期くらいか。唐破風のみ杮葺きだが、かつては全体が杮葺きだったかもしれない。

本堂の前には鐘堂。こちらも杮葺き。

柱が根曲がりの木材で作られているのがスタイリッシュだ。

「庭園ご自由に拝観ください」という看板があったので、本堂の横を回り込んでみると、棟門があり、ここから本堂の裏側へ入れるようになっていた。

庭園は枯山水。刈り込まれたツツジが中心の造園。

庫裏の裏から渡り廊下でつながった茶室と土蔵があった。

再び観音堂のほうへ戻る。

観音堂の前から石段が降りていて、その先に護摩堂がある。時刻も遅いし、階段の登り降りが面倒そうなのでパスしようかと思ったが、最後の一踏ん張り、やっぱり見ていこう。

護摩堂の前には、船の錨を突き刺したような護摩壇があった。

護摩堂の左側にあった鎮守社。

さて、この寺にはもうひとつ総門の仁王門があるというのだ。それはこの石段を降りた先の山道の途中で、車では行けない・・・。

きのうの登山ときょうの猛暑でもうふらふら状態、どうする、パスするか？、いや、知った以上は行くしかないよなぁ・・・。

あたりはうるさいくらいに蝉が鳴いている。

思い切って山道を下ることにした。仁王門までどのくらいあるのか。

途中にあった石造の不動堂。

観音堂から200mくらいで、総門の八脚門に到着。

かなり質素な門だ。よほどの寺好きでなければ、行かなくてもいいかもしれない。

とはいえ、年代は江戸末期くらいはいってそう。

峯寺の境内は広大で、もしかしたらまだ見落としがあったかもしれない。42坊の跡もひとつも見つけられなかった。