件の一本道も唐突に終わりになった。アトラン川に行き当たったのだ。でもこれは衛星写真でわかっていたことなので驚いたりはしない。
問題はここに渡船場があるかどうかなのだ。あと、あったとしてもオートバイを渡せる渡船場なのかどうかが重要。そこまでは衛星写真からは判断できない。
オートバイが並んでいる。これはたぶん二輪車預かり所で、対岸の村からチャイマロウに通勤通学している人がここに預けているのだと思われる。
渡船場のおじさんが「渡船に乗るのか? ならオートバイをスロープの手前に置け」と言っている。やった、オートバイを渡せることが確定。どうやら私が次の便の最初の乗客のようなのだ。
乗客が集まるまで舟は出ないので、茶店でレッドブルを買って日陰でひと休み。
なにせ暑季のミャンマーは常時気温が35度オーバー、日射も強いので頻繁にお店でジュースを買いながらの旅になる。
しばらくすると対岸からオートバイを満載した渡船が戻ってきた。
オートバイをころがして舟から出してる!
いい、これ、すごくいい!
カレン州で体験したオートバイの渡船は、舟べり越えるように人が担いで載せるパターンだったので、ヘタをすると腰をやりそうな作業なのだが、これは文明的。
15分くらい待っていると、こちら岸にも乗客がたまってきた。
オートバイの積み下ろしはすべてやってくれる。客は自分のオートバイにまたがって乗る。
ただ積み込みは不安定で狭い場所での作業なので、私が乗ってから舟が動くまでに10分ほどかかった。ノーヘルのオニイチャンは太陽に焼かれ、シャツを頭からかぶりながらじっと耐えている。
いよいよ出発。
この乗り場から出る航路はいくつかあるみたいで、他の村へ行く舟も出ていた。
私が乗ったのは一番近くの対岸の河岸までなのであっというまの舟旅。
先入れ後出しなので、降りるときは私が最後だ。
料金ははっきり覚えていないが、たしか1,000チャット(80円前後)だったと思う。日本人にとっては大した負担ではないが、現地の人には時給くらいに相当する。
帰路はここに戻ってくるつもりはないので、この渡船は私にとって最初で最後の利用になるだろう。
というのも、この渡船場の横では抜水橋の工事が始まっていたのだ。
もし次にこの奥地へ行くことがあるとしたら、たぶんこの渡船場はもうないだろう。こうして記録に残しておけば、いつかミャンマー人が懐かしく見ることがあるのかもしれない。
(2019年03月01日訪問)