仕事で長くカレン州に滞在しているので、カレン州の州都パアンのお店はけっこうわかってきた。
でも隣りのモン州に行く機会は少ない。モン州の州都モーラミャインは、ミャンマーでは第3の都市といわれる大きな町なので、その全容はまだまだよくわかっていない。そんな私が知るなかで、モーラミャインで最も品揃えのよさそうな果物店がここ「スリーダイヤモンド果物店」である。場所はモーラミャイン駅南のロータリーからパアン街道へ入り、踏切りを越えてすぐのところ。(詳細な場所はこのページの右上の地図をクリックのこと)
ここはモーラミャインからカレン州へ向かう場合どうしても通る場所で、洒落たホテルや遅い時間まで営業してるレストランがあり、たぶん自家用車を持っている層が買い物や食事をするようなエリアなのではないか。
果物店も数店舗あるのだが、たぶんスリーダイヤモンド果物店が一番品揃えもよく繁盛している。
せっかくモーラミャインまで来たので覗いていくことにした。日本でも生産されている種類の果物でミャンマーでも買えるのは、リンゴ、ミカン、スイカ、ナシ、モモ、ブドウといったところ。ミャンマーで買ったリンゴやミカンはあんまり美味しいと思ったことがない。
ここはせっかくなので日本であまり見かけない南国の果物について見ていこう。写真中央のアオリンゴみたいに見える果物はグアバだ。モモの後にあるイチゴくらいの赤い実はローズアップル。
パパイヤとリンゴ。
パパイヤやマンゴーはシーズンではなかったので、中々手に入らない。
手前のサツマイモみたいなものはサポジラ、赤いイガ状のものはランブータン、奥の棚で店員が袋詰めしているのはマンゴスチン。
ランブータンとマンゴスチンについてはちょっと前の投稿で書いたので、今回はその他の果物について書いてみよう。
多くの果物は、モン州やカレン州でも身近に栽培されているもの。
私が好きなマンゴーは、ときどき「これがマンゴーの樹だよ」って教わるのだけど、いまだにハッキリと見分けられる自信がない。
これがマンゴーの果樹園。
近影はこんな感じ。
なんだか、ミャンマーではこんな感じの常緑広葉樹がたくさんあるので、どれもマンゴーに見えてしまうんだよね。
シーズンは3~5月ごろか。こちらでの名前はタヤッティ。
いまは7月中旬なので、カレン州辺りではまったく採れず、ミャンマーの北部の高原地帯で生産されたものが運ばれてきて、わずかに店頭に並ぶ程度。
値段も1個150円くらいしていて、すごく高い。外国人くらいしか買わないんじゃないか。
日本で手に入るマンゴーには、黄色くて平べったい「ペリカンマンゴー」と呼ばれるやつと、赤くて丸まっこい「アップルマンゴー」があるが、ミャンマーでよく見かけるのはペリカンマンゴーのほう。
中には平べったい種が入っていてその外側の実を切り落として、種の部分はむしゃぶりつくしかない。
マンゴーには果物として食べるほかに、未熟な実も食べられる。
当然、甘さはまったくなく、苦酸っぱくて、歯ごたえも人参をかじっているような硬さ。道ばたでおつまみとして売られている。
そのままでは食べにくいので、トウガラシと砂糖の混ざった七味トウガラシ的な粉をまぶして味付けする。
パパイヤは個人の家の庭にもよく植えられていて、1本あれば一家が充分に食べられる実がなる。
樹冠にだけ葉が付く独特の樹型は見分けやすいので、すぐ覚えられる。
こちらでの名前はテンボーティ。
パパイヤもシーズンは乾季なので、まだ出回っていない。これはきっと遠い土地から運ばれてきたものなのだろう。値段は150円くらいした。高い!
パパイヤにはオスとメスがあり、このヘチマみたいな形をしているのはオスなのだとか。
パパイヤはちょっと臭みもあるので、ライムをかけて食べる。
こちらでは食材としてよく使うのでライムは簡単に手に入る。
パパイヤも未熟のうちに食べることがあり、よくあるのがパパイヤのサラダ。これはミャンマー料理というより、タイ料理かな。
写真のモヤシみたいな白っぽい食材が未熟パパイヤ。ピーラーで削ったものだ。フルーティーな要素は微塵もなく、大根のサラダを食べている感じ。
注文するときは、青トウガラシを少なめにしてもらわないと辛くて食べられないこともある。
バナナは色々な種類があるが、どれを食べてもバナナはバナナだ。
多少、酸味があったり、ねっとりしていたり、粉っぽかったりというのはあるが、驚くような味のバナナが存在するとは思えない。
たまに種が入っていることもある。
ミャンマーの油っこい料理に飽きてくるのでホテルにはバナナは常備しているが、結局よく買うのは日本でも売っている種類(写真の左側)なんだよなあ。この種類が一番美味いんじゃないか。
このイチゴみたいな形の果物はローズアップル。
ミャンマー語ではヘィンリィ。
ローズアップルの樹。
なってるところはこんな感じ。
アップルというよりもイチジクのような形だ。
歯ごたえは大根そのもので水っぽい。
汁の味はリンゴに近いのだけど、リンゴのニセモノ感が強く、あんまり大量には食べられない気がする。
これはスターフルーツの樹。
旬はいつなのかよくわからないくらい期間が長い。でも雨季にたくさんなるから旬は雨季なんだろうな。
これを見るまで私はスターフルーツはウリ科のツル性の植物の実だと思っていた。
職場の近くに生えているのでたまに採って食べるけれど、ごらんのようにほとんどはそのまま地面に落ちて捨てられている。
あまり人気がない果物なのか。
食べるときは縁の尖ったところだけを取り除く。
しょっぱいような、酸っぱいような味。
見た目が可愛いけれど、一切れ食べれば充分。
こちらでは砂糖を入れてジュースにするそうだ。
こちらはグアバの樹。
実はま小さかった。
お店で買ってきたグアバ。こちらでの名前はマナカディ。
しばらく置いてから食べろといわれたけど、どのくらい置くのかよくわからず、とりあえず1週間。
切ってみるとこんな感じ。見た目はナスだな。
味はリンゴを薄くしたようで、歯触りは生のナスそのもの。(ミャンマーではナスを生食するのだ。)
グアバはこれまで2回食べたことがあるけど、美味いと思ったことがない。食べ方が悪いのかな。
小型のザボン。モン州の名産品。こちらでの名前はショウッティー。
大きくて食べごたえがあるが、旬でも値段がけっこうする。1個150円くらいか。
旬は乾季だと思うが、1年中手に入る。
剥いてほぐしてから食べる。
グレープフルーツ的な味で、私はかなり好き。1~2個なら一人で一気喰いできる自信あり。
ロンガン、あるいは、リュウガン。
こちらでの名前はニンティ。でも訊く人によってそれ以外の名前を言われることもある。
一山いくらという値段で売られていて、1個は2円くらいか。
爪で切れ込みを入れて、ブドウのように剥いて吸い出す。
味、香り、食感のいずれもライチに似ているが、すべてにおいてライチのほうが上。
こちらでナンビャと呼ばれている果物。世間一般ではドゥクだろうか。
ロンガンに似ているが、店頭で売られているのはジャガイモみたいに埃っぽくて見た目はよくない。私もはじめはロンガンの粗悪品くらいに思っていたのだが、あるとき市場で試食させてもらってビックリした。
なにこれ美味すぎる! 東南アジアの果物の中で一番美味いんじゃない!? そのくらい美味いのだ。
味はマスカットのような濃厚な酸味と甘さ。汁気もあり、種があるようなないようなところはマンゴスチンとも似ている。
当たり外れもあるのだけど、当たるとすごく美味い。
東南アジアの市場に行ったら真っ先に探したほうがいい。
スネークフルーツ。こちらではジィンナンディという。一見して果物に見えない。鶏の手羽焼きか毛ガニか?という風情。値段は安い。100円も出したらけっこう買える。この一房だと40円くらいか。
樹はテーブルヤシが大きくなったような感じ。庭などに植えている家もある。
実は根元のあたりになる。椰子だからか。
外側は硬めの殻があり、その表面には小さなトゲがびっしりはえている。血が出るほどではないけど、強く握れと言われたらちょっとイヤだ。剥くとき細かなトゲがパラパラ落ちるので、洗ってから食べたい気分。
味は、ビワの甘さと酸っぱさを極限まで濃縮したような感じ。汁気はない。私はかなり好きだけど、あまりこの果物を好きという人がいないんだよなあ。
サポディラ。
チューインガムの原料はこのサポディラの樹液だというが、一度も樹をみたことがない。これも輸入品じゃないのかな。
はっきり覚えてないけど、1個10~20円くらいしたような。
見た目は焼き芋。
中味は干しイモみたいな食感。
味はどこかで食べたことがある何かに似てるような気がするのだが、思い出せない。ナツメの砂糖漬け?
多少違ってもよければ、干し柿と同じ系統の味。
甘くてねっとりしていて、和菓子を食べているみたい。
種はあるが、身離れはいいので気にはならない。
インドナツメ、こちらでの名前はジンディー。見た目はスモモのようで、味はリンゴが薄味になったような果物。
一山いくらで売られていて安い。ひとつあたりは2円くらいか。
買うとき七味トウガラシ砂糖をくれるのでそれをまぶしながら食べる。
甘くないスイカに塩をかける人がいるけど、そのノリ。
あまり積極的に食べたい果物ではないな。
グエディ。
果物なのか野菜なのかよくわからない物体。臭いがピーマンのような青臭さ、果肉は酸っぱくて硬く、甘みは皆無。見た目、味ともに未熟マンゴーとほぼ一緒。
値段は失念したが、たぶん安いと思う。いや、満足感からしてもこれが1個20円とかしたら許せない。
かじっていくと、中の種の廻りに始末に負えないトゲが出てくる。これ繊維じゃなくて、トゲなのだ。下手すると歯茎に刺さって血がでそうな・・・。
そもそも食べ方が合ってるのかよくらない。七味トウガラシ砂糖をまぶすのが正しい食べ方なのかも知れない。
たぶん二度と買わないだろう。
バイレンシ。「釈迦頭」ともいう果物。こちらでの名前はオーザディ。または、デュイン(ドリアン)オーザ。
表面は剥離しやすいウロコみたいなものでおおわれている。カレン州の市場でもよく見かけるのだが、輸入品ではないかなと思う。ひとつひとつ発泡ネットみたいのでくるんで売られているのが、地元の農家から出荷されているとは考えにくいので。
1個100円くらいする。大きさからすればけっこう高価。
中はプルプルとしたゼラチン質の果肉が入っている。種には毒があるといわれるが、身離れがよいので先にほじくっておけば問題ない。
ねっとりとした食感があり、花のような香りと濃厚な甘さがある特徴的な味。悪くいえば、日本人にとっては人工的な香り、トイレの芳香剤?と思えないこともない。フルーツ味のチューインガムのような香り。
でもこちらで買える果物としてはかなり美味しい部類だと思う。
これは番外で、前回の暑季の滞在で見かけたジャックフルーツの樹。
実はとても大きくなり、小さいものでラグビーボール、大きなものはひと抱えもある。
旬はやっぱり暑季。
包丁で切れ目を入れて中を裂いていくと、繊維質の実の中に柔らかいところがある。
ここが食べられる部分。
味は汁気の少ないパイナップルみたい。
かなり美味い部類だが、酵素が強いので調子に乗って食べていると口の中やノドが痒くなる。
一度アレルギーが発症すると、次から少し食べただけで痒くなるので注意が必要だ。マンゴーもその傾向がある。
今回わたしが滞在中に食べた果物の紹介だった。雨季にカレン州で買える果物のほとんどを網羅したのではないかと思う。
もちろん、雨季の限られたシーズンなのでミャンマーの果物をすべて網羅しているわけではない。他の果物については以下の記事もある。
ドリアンについてはこちらを ➡コクメイ村のフルーツ直売所
パイナップルについてはこちらを ➡パイナップル街道
タマリンド・スイカについてはこちらを ➡ メーバオ市場
(2019年07月18日訪問)