パアン市内で2019年現在、もっとも家電が充実しているのがここ、ソー電器店。ポエラミン百貨店でも家電品を買えるが、この店のほうが専門店なので圧倒的に品揃えがよい。
私が初めてパアンで仕事をした5年前と比べると、ずいぶんこのお店は大きくなった。店舗面積は3倍くらいになったか。発展途上国とはいえ、身の回りの変化の速度が日本とはケタ違いなのだ。
新店舗部分には、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、テレビなどが並ぶ。カレン州の平均的な生活レベルからすれば、憧れの製品ばかり。
エアコン、冷蔵庫、洗濯機あたりがカレン州三種の神器といったところか。
ほとんどが中国製で、価格は日本のアイリスオーヤマ等のリーズナブルなブランドよりもさらに安い。
ただねぇ、耐久性が問題なのだ。あらゆる家電品、小型エンジンの付いた機械、日常の工具などが、驚くほど簡単に使えなくなる。たとえば、扇風機なんてほとんどが1年くらいで壊れるんじゃないか。
日本の家電は無駄なギミックによる複雑化で製品寿命が短くなるが、こちらではシンプルな機能のシンプルな構造の家電がなぜか壊れるのだ。私だったら絶望して、家電なんて買えなくなっちゃいそうだが、めげずに消費を続けているのがミャンマー。だから活気もあるし、成長もあるのかもしれない。
エアコンは三菱電機、テレビはSONYの製品が入っているので、そのへんのメーカーは耐久性があるのだろうけれど値段も高め。ミャンマーでも日本の家電に対する信頼は高いが、街角では中国のメーカーの看板ばかりで、日本の家電メーカーの存在感は薄い。
カレン州では停電は日常茶飯事、というか、停電しない日があるんだろうか、というくらい停電する。もちろん1日に何度も。マイコン付きのデリケートな機械には、コンセントと機器のあいだにサージ電流を防ぐ安全装置を付けて使うのが普通。停電から復旧してもすぐに通電せず、数分間ディレイさせるのだ。
でも、扇風機のようなものにまでにその安全装置を付けるわけにはいかないから、どうしても日々サージ電流に晒されがち。
ミャンマーの電気は家庭用は240V/50Hzだが、通常時の電圧も不安定で、おそらく交流の波形も整っていない。どうしても家電製品の寿命は短くなる。
それと雨季の猛烈な湿気も、家電が長持ちしない原因になっているだろう。
台所用品なども耐久性がないんだよね。クッキングヒーターなんてすぐ壊れる。
冷蔵庫やエアコンに比べると、台所用品はカオスな状況で、SONY製、SHARP製のクッキングヒーターとか、ちょっと考えにくいブランドが付いていて、しかもクオリティーもデザインよくない。IH式に見せかけて、内部に電熱線が入っていてガラスが猛烈に加熱されるやつとか。
このカテゴリの製品は、
ピンク、黄緑、花柄など、選ぶのに困ってしまうようなカラーラインナップ。まさに昭和の日本がここにある。
シャンデリア類はけっこう充実している。
いまの日本だと、家を建てて洋間にシャンデリアをつけたいっていう人どれだけいるのかな。
LED照明も普及してきているが、数日で点かなくなるなどざら。
お祭りに欠かせないスピーカー、アンプ類。
鼓膜が破れそうなくらいの爆音でディスコサウンドを鳴らすというのがルールなのだ。それもお寺で・・・。
水中ポンプは必需品。
そこそこ豊かな家は井戸を持っていて、井戸の中に沈めて日用の水を屋根の上の水槽まで揚げる。
井戸を持てない人たちも多く、共同井戸か、近所の金持ちの家の井戸から水を汲ませてもらったりする。
この店の楽しみは、電飾光背コーナー。
けっこう種類が充実している。小型のものは1,000~2,000円くらいで、自宅の仏壇に使う。右端の大型のものは20,000~30,000円くらい。お寺に寄進するためのものだろう。
私はお土産に何度か電飾光背を買っている。パアンではこの店以外に、中央マーケットでも買える。買うときはかならず通電してもらって、全部のLEDが点灯するか確認しよう。
家電品だけでなく、電気部品なども手に入る。
パソコン類は買えないが、イヤホン、充電器やモバイルバッテリー、メモリカードリーダーくらいは手に入る。
業者向けの資材も扱っている。
ただ電気工事の資材は他にも扱っている店があるので、この店はあくまで家庭用品メインで利用するのがよさそう。
ちなみにミャンマーにも電気工事士に相当する資格はあるが、ほとんどの職人はモグリ。不適切な配線で機械を壊したり、ボヤ騒ぎが起きるのは日常茶飯事だ。
店はAH1号線側から、裏のパーヤー通りまで通り抜けられる。むかしはこの裏側だけが店舗だった。
旅行者が買い物することはないかもしれないが、電気関係で何か困ったときに、まず確認すべきお店だ。
(2019年11月07日訪問)