小豆島大観音をあとにして、次なる寺を目指す。ただ、長浜松香の猪鹿垣が見つからなかったことがまだ引っかかっていて、何か見つからないかと細い山道を通って移動していた。
屋形崎という大字へ向かう途中、海を見おろす農道から醤油工場の蔵と煙突が見えた。馬越醤油という地酒ならぬ、地醤油の工場だ。
対岸の牛窓の町がソテツや煙突よりも高く見える、小豆島らしい風景。
県道をしばらく東へ走ると道ばたにまた引導場があった。
墓地は県道から下の斜面に広がっている。
引導場の左右が吹き抜けになっているのは、滝宮で見たものと同じ。棺桶を置く台が正方形なのも共通している。
この台に棺桶を置くと想像するのは、お旅所で神輿の休憩用の台を思い起こさせるからである。
墓地に行くにはこの引導場の中を通過するようになっている。まるで長屋門のように。
建物の中には霊柩車はなかった。だが、天蓋の屋根のようなものが残されている。
これは座棺の上にかぶせる蓋なのではないか。
つまり遺体を霊柩車で運ぶのではなく、座棺(いわゆる
この墓地も比較的空きが多かった。
古い墓石を整理したはずだが、無縁仏のピラミッドは見あたらなかった。引導場がなければ何の変哲もない墓地なのだ。
だが引導場については数を見たくなってきた。私の住む徳島県ではあまり見かけない習俗であり、瀬戸内の海岸線と島々の墓制のイマの様子を写真にとどめておきたい。
とはいえ墓地ばかりも見ていられない。きょうはまだいくつも見たいお寺があるのだ。墓地を探し回るのではなく、道々にあれば立ち寄っていこう。
次に目指すのは山寺でこの山並みの奥のほうになる。
(2006年10月08日訪問)