雲胡庵の門前に「鳴滝不動参道」という道標があったが、道が崩壊したため通行禁止になっていた。
でも少し遠回りになるが車で登る道がありそうだったので探してみることにした。
雲胡庵から、その前を流れる橘川に沿って県道付近まで戻り、山の別の尾根に取り付く道へと入ってみることにした。
振り返ると、雲胡庵から見上げる山中にお堂が見える。
あそこまで行くのか~~
でもよく見るとお堂の屋根が落ちている・・・。
あれか? 参道が通れなくなり、お寺へ行くことが出来なくなって廃虚化しているのか?
尾根へ取り付く道は採石場のための林道で、車の離合は困難な隘路だった。行ったり戻ったり、躊躇しているうちに30分くらい経過。
でも勇気を出して林道を奥まで進み、寺よりもだいぶ高いところろまで行くことができた。
道路の舗装が切れ、石切り場みたいなところにかろうじて2~3台車を寄せられるようなスペースがあったので、そこに車を止めて歩いて寺を目指す。
林道からは川のほうへ降りて行くことになる。
寺の全貌が見えた、やっぱり廃寺だ。
途中川の洗い越しのような場所がある。
対岸には崩れかけた石段があるので昔は橋があったのかもしれない。
台風などの増水で流されたのではないか。
滝の上へ出られそう。
うわ~~、これ落ちたら死ぬやつだ。
手すりなどもない滝の上側って怖いよね!
ここからは海まで見通せる。
滝と海がひと続きになったダイナミックな風景。こういうのっていかにも小豆島っぽい。
洗い越しのところにはお堂がある。
鎮守社か?
そこからさらに道を降りて行く。
滝の下側に出た。男性的な荒々しい雰囲気の滝だな。
滝の前には不動明王がある。
これが鳴滝不動なのだろうか。
廃寺にするにはもったいない風光明媚な場所だ。
滝の前にもお堂が。不動堂ということにしておこう。
さらに進むとお寺の本堂のエリアに着く。
荒れてますな・・・。
久しぶりに見たよ、これほど本格的な廃寺。
崩壊し始めた建物のなかで、鐘堂だけはしっかりしていた。
もともと重量物を吊るすためにいい柱を使っているからだろうか。
本堂は宝形造だったと思われるが、完全に屋根が落ちている。
「本尊様はこちらです」という張り紙があるので進んでみる。奥は庫裏になっているようだ。
庫裏はまだなんとか屋根が残っていて、護摩壇と祭壇があった。
この場所からはさらに降りていく道がある。これが本来の参道なのだろう。
橋が架かっていたが、橋もハシゴもかなり錆びていて危険そうだったので降りるのはやめておいた。
それにしてもこんな不便な場所によく寺を建てたものだと思う。寺を建てたときにもし林道があったとしても、道から徒歩10分以上はかかるし重機などはまったく入れない。材木の運搬から土地の造成まですべて人力だったのだろう。
思えばこれまで見てきた小豆島の山岳寺院も、車で登れるようになったのはごく最近のことで、それまでは徒歩以外に交通手段がなかったはずだ。すべてふもとから歩荷で建築したのだろうし、その寺の僧は山を登り下りしながらの生活だったのだ。
中国地方にはいまでも車で行けない山寺がときどきあって、そういう寺に登ってみると、こんな生活があるんだとちょっと人生観が変わる。
(2007年10月08日訪問)