岩津で昔の映画館について聞き込みをしたとき、阿波町にあったもう一つの映画館についての情報が得られた。
その映画館は川人酒造という造り酒屋が経営していたという。しかもその場所を教えてくれた。
阿波町の久勝のほうに古い学校があり、そこから少し北へ行ったところにお屋敷があり、その向かいが映画館の場所だというのだ。
阿波町には現在、造り酒屋はないと思うし、それらしき建物もすぐに思い浮かばない。
でも、阿波町の古い学校というとたぶん現在、ルックス電子というメーカーの社屋に使われている建物のことだろう。
少し時間が遅くなったが、得られた情報を元に映画館の場所を突き止めに行こう。
これがルックス電子の社屋。
そこから少し北へ行くと、周囲は広々とした田園地帯になり、左手に長屋門のある大きなお屋敷がある。
その向かいに基礎だけが残る広い空き地があった。
おそらくここが酒蔵の跡なのではないか。
コンクリで整地されている範囲が広く、単なる農家の跡地とも思えない。
街道筋でもなく商店街でもない田んぼのど真ん中に映画館があったなんてちょっと想像しにくいが、芝居や映画が盛んだった時代にはこんな田んぼの中で映画を観たんだ!
なんだか映画館探しの視野に新しい地平が見えた気がする!
いまは車庫のような建物だけが残っていた。
これが映画館、じゃ、ない、よね?
映画館は名前があったのかどうかはわからない。たぶん、造り酒屋の名前の「カネゼン」だったのではないかと思う。
映画館の建物は酒蔵を転用したものだったそうだ。造り酒屋を廃業して、次のビジネスとしてエンターテインメント業を模索していたのだろうか。
加茂座の記事でも書いたが、加茂座、岩津の映画館はフィルムを共有して上映していたという。カネゼンは主に日活の映画を上映していたというから、加茂座、岩津も日活系だったのだろうか。
(2007年01月07日訪問)