きょうは川越市で一日遊ぶ。
でもその前に、坂戸の「五千頭の龍が昇る聖天宮」という寺に寄っていこう。長い名前だなぁ。「五千頭」のところからが寺の名前だからね!
場所は坂戸市郊外の田園地帯のどまんなか。
私は学生時代に川越に住んでいたのだけれど、そのころここはまだ建設中だった。田舎に長い塀をめぐらせ、コンクリの御殿みたいなものを造っていたから「ん? どこかの親分さんが豪邸でも建て始めたのか?」と思ったものだ。
完成までに17年がかかったという。
何年か前に一度来てみたら、営業時間が16時までで参詣できなかったのだ。日の長い季節だったので、16時クローズなのには驚いた・・・。
聖天宮は道教のお寺で、建物は極彩色の純台湾ふう。
なんちゃってではなく実際に台湾から宮大工を招聘して造ったものだ。
総門の斗栱部分なんて込み入りすぎてステレオグラムの模様か?って感じになる。
眩暈がしてきそう。
総門を裏側から見たところ。
総門を潜ると次にあるのが「前殿」という建物。
前殿の左右には重層の鼓楼と鐘楼が接続している。
この前殿は、日本の仏教寺院でいえば山門のような位置づけのお堂だ。ゆえに、あえて当サイトの分類でいえば妙応寺型伽藍とういことになろう。
前殿の屋根。
棟の中央に宝珠、左右からは向かい合った龍。
左側の鼓楼。
右側の鐘楼。
拝観料は500円。
台湾ではお寺の中は土足禁止で靴を脱いで入るのが一般的だが、このお寺は土足のまま入れる。
前殿の内部に入ると、門扉の裏側に四大天王という神様のレリーフがある。つまり、十二脚門の四天門と言ってもいいだろう。
前殿の中にはおみくじコーナーがある。
まず、竹籤を引き番号を見て筒に戻す。次に、テーブルに置いてある
おみくじを読んだら柱に結びつける。
この柱は石材の透かし彫りで、台湾の観音山の石材を運んだものだという。
天井にもものすごい装飾。
全部が全部龍というわけではなく、ゾウやトラみたいなものが多いように見えた。龍は梁の絵に多い。
前殿を過ぎると中庭になっている。
奥に見える建物が「本殿」だ。
本殿の屋根には中央に七重塔が載っている。
中庭は歩かずに、左側の回廊を進むのが順路になっている。
天井絵もきれい。
色鮮やかでほとんど退色していない。
ときどき塗り直しているんだろうか。
回廊から中庭を見た様子。
本殿に入る。
本殿の前にはバルコニーみたいな場所があり、香炉が置かれている。
本殿は天井の装飾も複雑。
本殿内部には極彩色の厨子があり、神様が3柱並んでいる。
左から、霊寶天尊、元始天尊、道徳天尊。
本殿では線香の奉納ができる。
でも3本500円は高いなぁ。すでに境内に入るのに拝観料500円を支払っているので釈然としなかった。もちろん奉納したけれど。
模造のお金である「紙銭」も奉納できる。
これは1枚単位ではなく、札束ごと買うものだけど2,000円もしている。高い・・・。
台湾で買ったことがあり、ちょっとはっきり覚えていないのだが、100~200円くらいのものだった気がする。記憶違いかな・・・。
参拝の仕方は説明版があり、係員も常駐しているので頼めばレクチャーしてくれる。
日本では道教寺院って少ないので、ちょっと気後れしてしまいそうだが、フレンドリーな雰囲気なので心配する必要なない。
特別参拝のコースを申し込むとたぶんこちらの格天井の内陣で参拝できそう。
本殿に参拝したら、右側の回廊を通って前殿に戻る。
前殿の右には突き出した部分があり、そこに鐘楼がある。
うれしいことに自由に登れる。
鐘楼は2階建てなのだが、高さ的には3階のレベルになっている。
この強引な感じの階段がたまらない。
鐘楼は撞木ではなくハンマー式で、15時になると自動的に鳴るという。
鐘の前には陽紅布の奉納所がある。
神社の絵馬のようなもので、願い事を書いて奉納すると、ときどきお焚きあげをしてくれるといもの。
布は1階で売っていて、値段はお志となっているけれど目安として500円以上。鈴も付いてるし特に高い感じはしない。むしろリーズナブルでは。
なんでお線香あんなに高かったんだろう?
鐘楼からは前殿の屋根彫刻が間近に観察できる。
総門方向を見たところ。
門前が見渡す限りの畑なので、違和感がすごい。
続いて、前殿左側にある鼓楼へ。
こちらも自由に登楼できる。
たまらないなぁ、こういう強引な階段。
鐘楼の上層階にはロウソクの奉納所がある。
こちらは赤ロウソクで1本100円。
こちらも特に高くはなく、普通だと思う。
太鼓も自動式。
こちらも15時に鳴る。
彫刻は近くで見ると、ちょっと大味な感じ。
あ、見落としている堂があった!
行ってみよう。
壽金亭という建物で、紙銭をお焚きあげするための焼却炉だった。つまり神様にお金を届ける装置。
ライターも常備されているので、本殿で紙銭を買った信徒はここで燃やすのだろう。
その隣りには東司がある。
男子トイレの様子。
驚いたのは大用便器にドアがない、いわゆる
気になる人は男性便所全体をアコーディオンカーテンで封鎖することになる。日本で你好厕所ってここだけじゃないのかな。
実のところ、私は台湾でも你好厕所は経験したことがない。どうしてこんな設計にしたのか。設計施工した工務店は何も言わなかったのか・・・。
左側の回廊には休憩所もあって、飲み物の自販機が並んでいる。
品揃えは台湾からの輸入飲料が多い。
(2019年08月12日訪問)
図解/古建築入門: 日本建築はどう造られているか
単行本 – 1990/11/1
西 和夫 (著)
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寺院建築の架構が最も理解しやすく書かれている本だと思います。