真東寺

塔が4基あり、裏山の八十八ヶ所ミニ霊場がすばらしすぎる。

(埼玉県美里町木部)

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秋蚕の碑から南の方角の丘陵にお寺が見えた。

入口の看板にお砂踏み霊場とあるのでお参りしていくことにした。

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近くまで行くと塔が見えるじゃないの!

かなり勢いがありそうな寺だ。

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山門は薬医門で、門をくぐると三重塔がある。

1階、2階に裳階が付いているので5層になっているけれど、三重塔という判定でいい?

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三重塔の本尊は荼枳尼天。

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三重塔の横に小さな納屋のようなものがあった。

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中を見ると護摩壇と霊柩車の輿が収納されていた。

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山門の横に立てかけてあった大八車はこの霊柩車の車体部分なのか。

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さらに弘法大師を載せた二重塔のようなものがある。名前は曼茶羅塔。

これがお砂踏みなのか。

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堂の内部に四国を描いた石版があり、真ん中に足跡がある。ここに立てば四国八十八ヶ所霊場で集めてきた砂を踏んで、四国霊場を一周したのと同じ御利益があるというものだ。

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しかも、定位置に立つとセンサーによってお経が流れるというハイテクなお堂だった。(故障中)

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お寺の由緒を書いた看板。

この看板に書かれているセルフビルドの観音堂ってどこにあるのだ?

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とにかく本堂へお参り。

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本堂は内陣の天井が高くなっていて、その欄間に花頭窓があるとう興味深い構造。

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本堂の右側には庫裏。

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本堂には寺のパンフレットが置かれていた。どうやら本堂の裏手のほうにミニ霊場があるようだ。

ミニ霊場の拝観は300円、本堂の賽銭箱に入れていくというシステム。ミニ霊場だけ拝観料取るってめずらしいな。

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本堂の裏のほうへ回り込んでいく。

塔のあるときめきの景観。しかも有名どころの塔のコピーというのではなく、独創的なデザインの塔というのがまたそそる。

平成時代には仏教建築がまじめになりすぎて、つまらなくなったからね。

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途中に鎮守社の天満宮。

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鐘堂。

少し高いところにあるので音がよく届くだろう。

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その先に水子地蔵供養のひな壇があった。

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このお堂がミニ霊場第1番札所、霊山寺。

実際の両山寺のイメージと全然ちがう。

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石段を登ると、第2番札所極楽寺がある。

思ったより大規模なミニ霊場だ。

しかもひとつひとつお堂のデザインを変えて飽きさせないという趣向。裏山系の八十八ヶ所ミニ霊場って中国地方によくあるけれど、すべて同じ形状の祠だったりするので飽きるんだよね。

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第3番金泉寺、第4番大日寺。順路は複雑にうねっていて起伏もある。

これは楽しい!

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水琴窟だろうか。

水を掛けてから、筒を耳に当てて音を聞くというもの。

機能していなかった。

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注意していないとルートから外れてしまいそう。

順路はところどころですごく狭くなったりする。

第10番切幡寺は妻入りの質素な堂だ。本物の切幡寺は日本でも数少ない大塔があるというかなりの大寺なのだが。

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第14番常楽寺は市販の石宮だけ。ちょっと手抜きな感じもするけれど、緩急が感じられるのでこれはこれでいい。

その次の第15番国分寺は多重塔という豪華な造り。実際の国分寺は裳階付きの重層堂だけど、やっぱり全然似てない。

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井戸寺。

ん~? 井戸の中が覗けそう。

実物の井戸寺にも面影の井戸というものがあり、覗いて水面に自分の顔が映れば無病息災、映らなければ3年以内に死ぬとされている。

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覗いてみると、奥に鏡があった。

よかった~、故障中じゃなくて。死ななくてすんだ。

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19番立江寺のあたりは境内の境界ギリギリ。

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徳島県の終盤あたりで巨大な祭壇のような場所の裏を通る。

あとで正面のほうへ廻れそう。

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第21番平等寺にある井戸を再現したポンプ小屋(?)があった。竜頭から水が出る仕組みのようだけど、機能していなかった。

その先には大黒天。

実は八十八ヶ所巡りと同時に、七福神巡りもできるという趣向なのだ。

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鯖大師、番外札所も再現されているのか。

徳島県はここまで。

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30番善楽寺。

札所の写真はすべて撮影したと思うが、枚数が多くて収集が付かなくなるし、そもそも写真点数が膨大になるので、端折っていこう。

第31番竹林寺。五重塔がある!!!

本物の竹林寺にも五重塔があるので再現したもの。

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後半は起伏が多く、雑木林の中を歩いていくので気持ちがいい。

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愛媛県に入った。

第44番大宝寺。四国遍路の中間点。

なんとここで大ネタ登場!

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お金を入れると、仏さまを覗けるというカラクリ賽銭箱だ。

こういうのにお金を入れられる幸せ、100円くらいいくらでも出しちゃう!

壊れてないことを祈りながらコインを投入。

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ちゃんと機能した!

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時間だけ内部に電灯がともって、本尊が見えるという仕組みだった。

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第45番岩屋寺。

実物の岩屋寺は奇岩にある投込堂的な寺で、本堂の横に修行窟みたいな穴があってハシゴで登れるようになっている。このハシゴはそれを再現したもの。

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その先の細い通路は岩屋寺奥の院の行場を再現したものか。

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第46番浄瑠璃寺。

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第51番石手寺。

実際の石手寺にも三重塔がある。

それにしてもこの寺、一体いくつの塔があるんだ!?

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第73番出釈迦寺、第74番甲山寺。

香川県に入った。

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金比羅様が再現されている。

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第76番金倉寺、第77番道隆寺。また三重塔がある!

でも実際の道隆寺には三重塔ないよ?

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なんやかんやで第八十八番、大窪寺へ到着。

位置的には第1番の横なのだけど、実際の大窪寺も徳島に近いのでだいたい合ってる。

四国八十八ヶ所巡りでは、第88番を打ったあと、第1番霊山寺にもう一度お参りするルールなので、それも再現できるという親切設計。

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いや~実にすばらしいミニ霊場だった。

本堂で拝観料払ったときは「普通ミニ霊場でお金取るか~?300円は高いな~」などと罰当たりなことを思ったが、全然高くなかった。

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全行程は足早でも45分、丁寧に見たら1時間以上かかるんじゃなかろうか。

また来てもいいかなと思うくらいすごい寺だった。初めて巡るときの感動はもう得られないかもしれないけれど、それでも飽きずに何周もできそう。

北関東ではかなりのオススメ寺院だ。

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最期に、寺の由来書きにあった観音堂を紹介しよう。

境内の隅のほうにある2階建ての堂だ。

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1階は歴代住職の墓の五輪塔の覆屋、2階が観音堂、屋上にも観音様がいるという3層構造で、しかも2階と1階は別ルートでしか入れないというトリッキーな建築。

普通の寺だったら、これがあるだけでもかなり印象にのこるのだけど、八十八ヶ所ミニ霊場がすごすぎて最期になってしまった。

(2017年11月23日訪問)

死者の結婚 (法蔵館文庫)

文庫 – 2024/9/13
櫻井義秀 (著)
「結婚」とは何か。山形県のムカサリ絵馬供養、青森県の花嫁人形奉納、沖縄のグソー・ヌ・ニービチ、韓国や中国・台湾の死霊婚など、死者に対する結婚儀礼の種々の類型を事例に、その社会構造や文化動態の観点から考察する。

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