野村シルク博物館から近い、松下家という養蚕農家を訪ねた。
野村町には現在6軒の養蚕農家が残っているが、平均年齢は77歳で高齢化が深刻だ。生産している繭も1蚕期あたり1~2.5箱程度の小規模な養蚕農家が大半を占めている。
その中で、松下家はご主人の年齢が野村では一番若く、1蚕期5~6箱を飼育する野村町の中核養蚕農家である。
訪ねたときご主人はいそがしくて詳しい話は聞けなかった。
晩秋蚕が終わった後で、晩々秋蚕の飼育をしていた。松下家は春も2回掃き、秋も2回掃きと昭和の養蚕農家なみにひとり気を吐いている。
生産量の多い農家というので、スーパー飼育台や循環式蚕座を使っているかと思いきや、机上式の平飼いだった。スーパー飼育台と比較すると、蚕が近くにいるので腰を曲げずに給桑できるが、大量の条を置けないので5齢中に除沙が必要になる。
スーパー飼育台には給桑台という台車がセットになっているが、机上式だと桑は蚕の上に一時的に載せて広げていくことになる。
また、5齢の途中で拡座するときには、このようにテーブルの下を使う。このタイプの飼育台の一般的な使い方だ。給桑はかがむことになるのでちょっとやりにくくなる。さすがにテーブルの下に置いてからは除沙はしない。(たぶん)
この写真の飼育台は、テーブルのへりに角度が付いているのが特徴的だ。
晩々秋蚕で飼育しているのは「あけぼの」、「
貯桑場。
明日の朝のぶんの桑だろうか。乾かないようにブルーシートで包んであるけれど、150kgくらいはありそう。
(2011年10月09日訪問)