10時になったので姫だるまの工房を訪問し、仕事場を見学させてもらった。姫だるまは竹田市の民芸品で、だるまとしてはかなり可愛らしい。あわよくばひとつ買いたかったのだが、納品まで1年半以上かかるという・・・。受注残が大量にあるのに新規に注文が入るので、もう伝票の山を見たくないとおっしゃっている状況だった。
製造工程自体は群馬等のだるまと決定的に違っているわけではない。だから群馬のだるま生産者が聞いたらなんでそんなに時間がかかるのかわからないと思うが、姫だるまの製造工程は単純作業から何からすべて1人がこなしていて、分業化とか効率化とはまったく無縁なのだった。民芸品ではなくアーチストの美術作品といったほうが近いように思えた。
だるまが購入できなかったので、次の目的地、白水ダムへ向かう。
その途中、県道8号線の道ばたに越し屋根の載った小屋が目に付いた。
ベーハ小屋、だよね???
ベーハ小屋とは、農作物としての葉たばこを熟成させるための施設で、内部は加温し天井部分から熱気を抜くように作られている土蔵造りの乾燥小屋である。
基本的なフォーマットは専売公社によってマニュアル化されていたので全国的に似たような設計のものが多いのだが、この小屋はちょっとフォーマットから外れている。
一般的なベーハ小屋は、2階の高さがある内部吹き抜けの土蔵で、その中に何段にもタバコの葉を吊るせるようになっているのだが、この物件は1階の高さしかない。
これだとせいぜい2段くらいしか吊れないのではないだろうか。
こちらが入口。
少し高くなっているのは、床下に焚き口があり、室内の床にはダクトというか、鉄管が巡らせてあるからだ。
排気は反対側の煙突から行なわれる。
下屋が大きく出ているのは、この部分でタバコの葉を縄に編み込むといった作業をするためではないかと思われる。
火を使う建物なので火災を嫌って主屋から離して建てられていて、この場所で完結して作業できるようにしているのだろう。
あとでわかったことだが、これはシイタケの乾燥小屋らしい。でも元はベーハ小屋だったのではないか。
2023年現在、この小屋はもう取り壊されてしまっている。
(2012年03月24日訪問)