近くに国指定史跡の磨崖仏があるというので見ていこう。入口は何の変哲もない農道。
有名な磨崖仏への入口としてはやけにあっさりしている。看板が出ていなければ通り過ぎてしまいそう。
左側に普通車5~6台が停められそうな駐車場があるので、ここからは歩いていく。
100mほど山の斜面を登っていくとお堂が見えてくる。
磨崖仏が風雨に当たらないように建てられた覆屋だ。覆屋には壁がなく四方吹き放ち。
磨崖仏はすぐ奥にある。
なんと彩色されてる!
子どものいたずらじゃないよね? 真摯な信仰にもとづく彩色だよね? 九州らしいといえば九州らしいのだけど・・・。
正面に3体、左右の壁にそれぞれ1体、合計5体の仏像が彫られている。
中央の仏像は座高は蓮台部分から1.8mほどか。彫られた年代は鎌倉時代と考えられているようだ。
文化財の案内によれば中央は大日如来、左が持国天、右が不動明王となっている。持国天と不動明王はいいとして、中央の仏が大日如来はなかろう。釈迦如来を中心にすえた三尊仏形式の変則型でいいと思うのだが、地域では大日如来として信仰されているという。
個人的に磨崖仏の鑑賞基準はいかに厚みがあるかという点だ。壁の線刻みたいなのじゃなく、実際の仏のような丸みをもった体が彫られていると評価が高くなる。
その点、この大日如来はかなりの逸品といえる。国指定史跡に恥じないすばらしい磨崖仏で一見の価値あり。
気になるのは仏の前に彫られている溝。これなんなのだろう。排水ドレンとも思えないし、お供えものなどを並べる場所か、あるいは建築物を据え付けた基礎だったのか。
左側の壁には仁王像。
仁王像の横には宝塔が彫り込まれている。
右側の仁王像は崖の剥落で上半身がなくなっている。
文化財の看板。
(2012年03月25日訪問)