きょうは阿南市南部の石灰岩地帯にある鍾乳洞などを見に来た。目的は果たして、すこしブラブラしていたらベーハ小屋を見つけた。
場所は四国八十八ヶ所第22番札所、平等寺へ向かう遍路道。
こんなふうにいつも遍路道の話題ばかり書いていると、よっぽど遍路道が好きなのかと思われそうだが、単に古くから人の往来がある道が好きなだけである。そういう道を通れば色々と偶然の発見もあるからだ。
さて、県南のベーハ小屋を紹介するまえに、徳島県全体の葉タバコの産地について概観しておく。徳島県の葉タバコの産地はおおまかにいって3ヶ所である。それは、
- ソラスジの急傾斜集落で作られる「阿波葉」
- キタジの扇状地地帯で作られる「第2黄色種」
- ミナミガタの谷底平野で作られる「第1黄色種」
である。
(図は当サイトの独断と偏見で作った徳島県区分図)
ここ阿南市はミナミガタ地区だから、第1黄色種の産地だ。
したがって乾燥室は黄色種に特化した「ベーハ小屋」である。
形式は妻の破風が切れて、妻側に扉があるタイプ。聞くところでは折衷式だというが、中を見ないと本当は確認できないから、これは「破風切り型」と外観で呼んだほうがよさそう。
越屋根の小壁部分の開口方法がガラリ板なのか突き上げ度なのかは不明。デジカメの解像度が足らない。
たぶん上側に蝶番がある突き上げ戸だとは思うが。
このベーハ小屋のすぐ前にはハシゴ半鐘がある。
火の見櫓については『阿波國すきま漫遊記 第15話』で特集する予定なので出し惜しみしたいところだが、あまりにも場所が隣接しているため、ここで紹介しておこう。
ハシゴは神社の竿立て石みたいな基礎に取り付けられている。上部には電灯の傘があることから夜になると灯がともるのかもしれない。
奥の茶色の壁の納屋(?)がある家にベーハ小屋がある。
ストリートビューを見るとベーハ小屋もハシゴ半鐘もなくなっている。ハシゴ半鐘が最後に確認できるのは2012年だが、その時点でベーハ小屋はすでにない。
(2005年04月10日訪問)