きょうは11月23日の祝日。脇町から阿波町にかけてうだつ櫓を探しに出かけた。「うだつ櫓」は私が勝手に呼んでいる、旧家の竃屋の煙出しのことである。これらについてはいずれ『阿波國すきま漫遊記 第10話』で紹介するつもりだ。
その帰路、阿波町でいくつかベーハ小屋を見かけた。
これはそのひとつ。篠原家のベーハ小屋。
屋根は片破風切り型。
越屋根の開口部が塞がれているが、それ以外の部分はかなり状態がよく残っている。
平側壁面の上部にある小さな窓。
これ、観察窓なんだろうか。
外側から見るにしてもハシゴを掛けなくてはならず、本当に使えたのだろうか。
妻側の高い位置にも小さな窓がある。
こちらは槙の垣根もありますます観察しにくそう。
ご主人が庭の柿を収穫していて、挨拶をしたら中を見せてもらえることになった。これを乾燥室として使っていたのは先代なので詳しいことはわからないという。
破風が切ってある面に焚き口、南側の平側に入口がある。
かつての焚き口。
煙管式の薪ストーブがあったのではないかと思う。
その上の縦に長い窓は室内の温度を確認する温度計があった窓だろう。
内部もきれいに残っていて、物置になっていた。
写真右に見切れている小さな窓は、北側の平側に見えた観察窓だ。
破風が切れていない妻側の天井。
越屋根の内部が見通せる大阪式のベーハ小屋だ。
架構は、中央の柱の上に太い桁を載せ、さらに小屋梁が載っている。桁の上には小屋束が立っていないので、構造的には何のためにこの桁があるのかよくわからない。
こちらは破風が切れている妻側の天井。
越屋根のところに板が渡してあるのはなぜなんだろう。人間が作業する足場にしては越屋根はの内部は狭い。
換気の風量をマイルドにするためのスリットなのかもしれない。
この集落にはいくつかベーハ小屋があり、この写真は篠原家とは別の物件だが、桟瓦葺きで時代感が似ていて、おそらく篠原家の越屋根の開口部はこれと同様な構造だったろうと思う。
(2008年11月23日訪問)