上勝町の県道16号線から野尻地区へ登る道に水車小屋があった。
まだ新しい水車小屋だ。
名前は野尻村のコットン水車。木綿の綿打ちとか紡績でもするのかというような名前だがそうではない。
普通の精米水車だ。
定礎をみると、平成9年(1997)となっている。造られてからまだ6年しかたっていない。
「徳島県棚田保全事業」とあるので、県の予算で建てられた水車小屋なのだろう。野尻地区は平成の棚田百選(および、令和のポスト百選)には選ばれていないが、棚田の集落である。
内部は搗き臼╳2。
補助金で造られた水車小屋って、自分の中の水車ランキングとしてはドライブインや蕎麦屋の水車と大差ないかそれより下位なのだよね。
なぜなら蕎麦屋の水車には、蕎麦屋の営業活動のための必要性、合理性があるから。蕎麦屋が続く限り水車も続く。でも補助事業って持続のために実施するはずのに、合理性がないことをするから数年後に行ってみたら誰も使ってないみたいな状況になりがち。
で、そういう水車小屋を見るときは、その場所に元々水車小屋があったのかが観賞ポイントになるわけだが、この場所はちょっと導水に無理がある感じがする。
もちろん現代の建材や潤沢な予算を使えばどうとでも解決できるけれど、水車が普通に造られていた昭和前半くらいだとこんなふうには造らないんじゃないか。
むしろ、この谷川の中の橋の下のスペースにあったのではないかという気がする。
右側の水路から水輪に水を落としていたのではないか。
(2003年05月24日訪問)