旧竹内家住宅

カヤで壁を作っている古い民家。

(高知県四万十町大正)

週末、特に目的地もなくフラフラと県西のほうへドライブに出かけ、そのまま高知県に入ってしまった・・・。

普段なら適当なところで飯でも食べて日帰り温泉にでも入って深夜には帰宅するというパターンになるのだが、この日は足摺岬まで行ってみようと決めた。徳島市内に住んでいる私にとって足摺岬は四国の中で最も遠い地点になる。きょうは中村市(四万十市)あたりで宿を見つけて泊まることになりそうだ。

高知市から国道56線を西へ、窪川町(四万十町)からは海岸を離れて四万十川沿いに入ったころにはすでに夕方になってしまっていた。下調べもしてこなかったし、初めての道で土地勘もない。四万十川の名物沈下橋も今回は横目に見ながらからひたすら走り続けるだけだ。いつかまた来ることもあるだろう。

そんな道程で1ヶ所だけ立ち寄ったのが、大正町の旧竹内家住宅である。

写真

到着したのは16時すぎだったので見学はできなかった。

竹内家は移築だが、写真ような傾斜地の細長い敷地に建てられていた。土地の制約から部屋が横に並ぶ間取りが特徴といえる。一般的に土間+2部屋の構成の民家では、平側から奥に向かって部屋を前後に分割し、日が差し込む手前側を居間、奥側に寝間(ねま)という暗い寝室を設ける。これを「二間取り」という。それに対してこの民家では土間→居間→座敷と並列に部屋が並ぶ。いわゆる「竿屋造り」と呼ばれる間取りである。

このような間取りは徳島県では剣山を中心とした四国山地に見られるという。でも私はまだそうした間取りを残すお宅を実見したことがなくて、いずれ見てみたいものだと思っているところ。もちろんこんな不便な間取りに現代も生活している人などいなくて、増改築によってまったく違う姿になっている場合がほとんどだろうから、まずその純粋モデルとしてこの民家を見ておこうと思ったのだ。

この日はここに立ち寄っただけで、そのまま中村市まで走りビジネスホテルに飛び込みで宿を取った。

夜は旧市街の割烹で少し贅沢に四万十川の地魚を堪能し、郊外の平和な湯という日帰り温泉へ。泉質も良く、歩行湯の足裏マッサージで長い運転の疲れがとれるいいお湯だった。

(2006年11月04日訪問)

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