足摺岬で時刻は14時をまわっていた。さすがにぼちぼち帰路につかねばならない。
帰路はしばらくは国道56号線で海岸沿いの風景を楽しんだあと、宇和島市から国道320号で四国山地に分け入り、
足摺岬から徳島に向かうにはまったくお勧めできないルートである。ただね、好きなのよ、山道が。走行時間だけで10時間、休憩や入湯時間を考えると家に着くのは早くても26時、のんびりしていれば空が白んでくる時間となってしまう。途中にはまだまだ楽しそうな場所があるが、ここからは食事とトイレ休憩だけでまずはむささび温泉を目指したい。
そう思って、わずかに走ったところで国道沿いにコンクリ山のある公園を見かけた。
イヤイヤイヤ、こんなところに立ち寄っている場合ではないのだが、車がとめやすかったのでついつい立ち寄ってしまった。
大きな滑降部を持つ見ごたえのあるヤマだった。
滑降部以外の全体がイボイボとカスガイで覆われている。階段などはないスパルタンな滑り台だ。
興味深いのは3方向からトンネルがあること。トンネルはT字型に穿たれていて中央で合流している。
ヤマの横から見た貫通状態のトンネル。
大人でもかがめば進める高さなので中に入ってみた。
3方向からのトンネルが合流している場所からはさらに垂直の穴があり、山の上に出られるようになっていた。
この上もない素晴らしい演出だけど、現代の基準ではやや危ないかな・・・。
もちろんこんな程度で危ないって言っていたら遊びなんてできないのだけど、この時代でなければ造れない意欲的な設計だと思う。
滑降部は降り口に柵があるし、ヤマの頂上全体も柵で囲まれているから安全面ではよく配慮されている。
これは滑っても楽しい滑り台だ。
滑降面は人研ぎ。
この公園にはもう一つ大型の滑り台がある。
こちらは木造の砦形式。滑降部も木造で滑降面にはステンレスが張ってあるという珍しいタイプ。通常こうした遊具にはステンレスかFRPで成形された滑降部が用いられることが多い。
全体が木造ということもあって、耐久年数は短かそう。次にここに来ることがあってももう残っていないかもしれない。
公園内には他に、ターザンロープ、ジャングルジム、ブランコ、鉄棒、遊動式ライド、タイヤ飛びがあった。
ストリートビューを見ると、2013年までに木造砦が撤去、2021年までにはコンクリ山が撤去され、ユニット型遊具が新設された味気ない公園になってしまった。
急いで立ち寄ったけれど、結果としてこの時でなければ見られない遊具の記録になった。
(2006年11月05日訪問)