国道318号線、宮川内ダム横の「道の駅どなり」の敷地内に水車小屋がある。「小屋」という名前にはそぐわない規模で、一軒家ほどの大きさだ。
この水車小屋はかつてこの地方にあった「
規模からして家々が自家用の小麦を挽いたのではなく製粉工場といったものだったようだ。
現在この地域にはたらいうどんという名物を食べさせるうどん屋が並んでいるが、そうした粉もん文化と関連するものなのだろうか。案外、現在うどん屋をやっている場所が昔の水車の跡なのかもしれない。
この場所は宮川内ダムの補償として保養施設と一体で整備された超立派な道の駅の敷地であり、川からは離れている。復元ではあるが場所はかなり不自然だ。
元々は宮川内谷川の川面に近い場所にあったのかもしれないが、ダム建設で一体の地形が変わっているので昔の様子はもうわからない。河道を丹念に歩いたら遺構があるのかな。
水輪への水の書けかたは上掛け。なんというか、新規に作られる観光水車って上掛けが多いのよね。なんでなんだろう。不自然な場所に設置するから水源の確保が難しく、少ない水で水輪を廻したいというケースが多いからか。
この水車も水源があるのか、もしかしたら水道に繋がっているのかもしれない。
もっとも、営利企業が設置する工場でもあるから、離れた場所から鉄製の樋などで導水していたという可能性もある。
内部は窓から見るだけ。室内には説明図があるようだが外からはまったく見えないので仕組みは想像するしかない。
精米水車で見るような搗き臼はなく、大きな挽き臼があるだけだ。
手前の階段の上の木製の枡には「元掛機」というプレートがついている。最初の原料を投入するホッパーではないかと思われる。ここから少しずつ原料が石臼に流し込まれる。
奥に見える巨大なタンスみたいなものには「八角」というプレートがついている。回転する
斜めに見える木製の部材は「大のぼりがけ」とあり、木製のベルトコンベアで製品で逆円錐形のホッパーに原料を環流させるのだろう。
こうしたプラントがかつてはすべて木造で作られ、水車の動力だけで自動運転できたのは驚くべきことで、もう少し見学しやすいようにしてほしかった。
(2006年12月16日訪問)