鬼ケ城

奇岩が続く絶壁の途中に遊歩道がある。

(三重県熊野市木本町)

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獅子岩から北側を見ると小さな半島がある。海岸線は岩だらけの崖だ。これが鬼ケ城と呼ばれる景勝地。戦国時代には山頂に山城が築かれたこともあり、地名をとって「鬼ケ城城(。。)」といわれている。

これまでこの場所は何度か素通りしているので、きょうは鬼ケ城を観光していく。

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西と東に入口があるが、たぶんほとんどの観光客は東側から入ると思われる。

東口に広い無料駐車場があり、「鬼ケ城センター」というレストハウスもある。

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鬼ケ城遊歩道の地図。

左端の鬼ケ城センターから右端の稲荷神社までの道のりははっきり書かれていないけれどざっくり1.5kmくらいはある。

景色を楽しみながら行って戻るだけで、所要時間は1時間は見込んだほうがいい。

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東側の入口。

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東口を入ってすぐのところに小さなトンネルがある。

これ、海食洞ではなくて、たぶん遊歩道のために掘削した人口の穴だと思う。

そもそも歩道自体が法面をえぐって作られているのだ。

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以前にはこの崖を迂回するためのルートがあったっぽい。

現在は通行止めになっている。

こういう岩盤を削って彫り出した階段ってしびれるね。鬼ケ城にはこういう階段がたくさんある。

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トンネルを潜って、最初のスポットへ。

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千畳敷という平らな場所に出た。

ここは人工的に整地されたものではなく、段丘なのだという。つまり海岸が急激に隆起してできたものだ。

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ただ、海蝕が激しい岩と固い岩があるので、その違いが層理面となって水平面が生まれているのではないか。

海蝕が激しい場所は砂状の凝灰岩だ。

崖がえぐれて岩屋のようになっている場所がある。

この場所には伝説があって、ここが海賊の根城になっていたのだという。それゆえこの崖が鬼ケ城と呼ばれるようになったのだ。

平安時代、この場所に海賊が住み着き、時の天皇は海賊討伐に坂上田村麻呂を遣わせた。だがこの岸壁は陸側からは近づくことができず、岩屋に障壁を築いて立てこもる海賊を攻めあぐねていた。そのとき沖にある魔見(まみる)ヶ島に神のつかいの童子が現われ、歌をうたい、舞い踊った。海賊たちはその様子が気になり外を覗いたところ、田村麻呂は矢を放って海賊の頭領を射止めたという。

沖に2つの岩が見える小島が魔見ヶ島で、地元では「マブリカ」と呼ばれ、釣りスポットなのだという。

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たぶん魔見ヶ島へは渡船で渡れると思うが、この岸壁からも釣りをしている人がところどころにいる。

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観光客が歩く場所には基本的に柵があるので、ルートを迷ってになって崖から転落するようなことはない。

ただ、柵は80cmほどの車道と歩道を分けるガードみたいなやつなのでちょっと怖い場所もある。

建築基準法では転落防止柵は高さ1.1m以上ってされているけど、実際1.1mの柵でもかなり低くて怖いよね。日本人の身長が低かったころの基準なんだろうか。

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岩屋の天井は岩石の色が赤っぽい。

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奥の木戸。

切り通しみたいな場所。かつて門でもあったのか。

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猿戻り。一番の難所だ。

波打ち際のほうへ下ってゆく階段があるが封鎖されている。

正しいルートは右側の崖へ登ってゆく階段だ。

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このルートはかなり迫力がある。

ただちに身の危険を感じるレベルではないけれど、一般の観光客を歩かせる遊歩道としてはかなり怖いほうだ。

強風であおられて転落したら死ぬ可能性もある。

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鬼の風呂桶。

中央の裂け目がそうなのかな?

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犬戻り。

たぶん右側に見えるヤベえ石段がそれ。

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神楽岩。

杭が立てられている岩か?

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木喰岩。

プレートがついている岩ではなく、波打ち際にある大岩。

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たぶん中央のが木喰岩。

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鰐岩。

海面に横たわっている長細い岩盤がワニに見えるという。

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こちらの角度のほうがワニっぽく見えるか。

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潮吹。

波が高いときに中央の割れ目に吹き上がるのかな?

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鬼の見張り場。

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水準点みたいなのが連続して打ち込まれている。

なんで??

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飛渡り。

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上段へ上る石段があるが立入禁止だった。

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水谷茶屋跡。

いわれ不明だが、飛鳥の酒船石みたいな彫り込みがある。

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鬼の洗濯場。

どれが洗濯場なんだろう・・・

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波切不動。

剥落した白い岩がたぶん波切不動だと思う。

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蜂の巣。

これ、昆虫のハチの巣という意味じゃなくて、ウシの胃袋のハチノスってことでいいんだよね???

あるいは、茸のアミガサタケを思わせる。

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東側の入口まで来た。

鬼ケ城はここで終わりなので、同じルートを戻ってもいいのだが、半島をひと回りしてトンネルを通って駐車場に戻るつもりだ。距離的には近くなるわけではなく、むしろ遠回りかもしれない・・・。

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東口にある弁天神社入口。

昨年の台風の影響で参拝できなくなっている。

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洞窟みたいなものがあった。

海食洞かと思うが、漁師さんの物置になっていた。

(2017年01月16日訪問)