
ここから都幾川を見ていく。
写真は都幾川と越辺川の合流点。左側が越辺川、右側が都幾川だ。
背割堤がなく自然合流になっている。

当然、水害が発生しやすい場所で、2019年の台風19号では合流の股の部分で破堤して、写真奥に見える早俣地区が大規模に冠水した。

国土地理院作成の「令和元年台風19号に伴う大雨による浸水推定段彩図」を見てみると、非常に広範囲が水没しているがその部分にはまったく人家がなく、逆に人家がある場所は水没を免れているのがわかる。ある意味これは「水害」ではなく、治水が正常に機能した姿なのかもしれない。
このとき2ヶ所で堤防が破堤している(地図の❌)。
九十九川水門は閉じられていたため九十九川の左岸堤防が破堤、さらに都幾川の右岸堤防も大規模に破堤して正代の水田や道路が水浸しになった。

都幾川の破堤箇所の修復はもう終わっているが、あたりはまだ工事現場という様相。
堤防上の道路がやや広くなっている箇所が修復された堤防だ。

この場所には堤内地の農業排水を都幾川に排出するための樋管がある。
樋管とは堤防を貫通した川のトンネルのようなもの。もちろん都幾川の高水時には水が逆流しないように閉じる機構がある。

樋管を堤内地側から見たところ。
川の名前はおそらく

レンガ造の立派な樋管で、大正3年(1914)に竣工したもの。双塔のデザインがかわいい。この地域のレンガ樋門で共通する意匠だ。
樋管はいまも現役で使われていて、2019年の破堤時の水流でも損傷しなかったようだ。

堤外側は写真を撮りそこなった。
観音開きの鉄扉がある。

水門の横には古いコンクリートアーチ橋がある。

名前は小劔橋。こちらは昭和7年(1932)竣工。

悪水では釣りをしている人がいたので、何か釣れるのかだろう。

川岸に穴が。カワセミの巣か?

2年後の2025年に訪れてみたら、大規模な水門設置工事が行なわれていた。レンガ樋管とは位置がズレているので、工事後も樋管は文化財として残るのではないか。
(2023年04月02日訪問)